病院など医療機関で放射線技師として働きたい方もいますよね。しかしネット上で「やめとけ」という書き込みを見たこともあるでしょう。
放射線技師は医療機関にあるMRIやX線を使って画像診断したり、がんの放射線治療を行ったりする専門家です。
平均年収も高く、医療現場で活躍する機会も多いものの、なぜネガティブな言われ方をするのか気になりませんか?
そこで本記事では、放射線技師が「やめとけ」と言われる理由を、メリットや将来性とともに解説していきます。
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放射線技師とは
放射線技師とは、病院など医療施設で放射線を駆使して治療に携わる専門職です。
放射線技師は正確には「診療放射線技師」と呼ばれます。大学の医学部や専門学校などで3年以上必要な知識やスキルを身に着け、国家試験に合格すれば業務可能です。
近年では癌患者の増加や放射線治療の機会が増えているため、放射線技師のニーズはますます増しています。
加えて乳がんなど女性特有の病気に対応するため、女性の放射線技師も増加傾向です。
放射線技師はやめとけと言われる8つの理由
放射線を使った技術を使って活躍する放射線技師なのに「やめとけ」という声をよく聞きますよね。
放射線技師に否定的な意見が多い理由に以下の8点が挙げられます。
- 給料の大幅アップが期待できないから
- ルーチンワークになりがちだから
- 被ばくするから|「早死に」のイメージも
- 職場に性格悪い人もいるから
- 求人数が少ないから
- 自由に休めないから
- 放射線技師単体での起業が不可能だから
- 機械の進歩で仕事がなくなる可能性もあるから
給料の大幅アップが期待できないから
まず給料の大幅アップが期待できない点です。放射線技師は医師や看護師などと同じ医療職に含まれます。
そして医療職の給料は国の定める診療報酬によって決まる仕組みです。
しかし近年では高齢化に対応するために医療費を抑える傾向にあります。そして医療費が抑える際に診療報酬を引き下げているため、今後も給料の大幅アップは期待できません。
加えて放射線技師は病院の中でも医師や看護師に比べると立場が弱いです。ルーチンワークである点からもあまり評価に繋がりにくい存在であることも理由と言えます。
ルーチンワークになりがちだから
放射線技師がルーチンワークになりがちな点も「やめとけ」と言われる理由の1つです。
日頃彼らが行う業務の内容は、医師の指示に従った画像の撮影・作成・報告書の作成などとある程度決まっています。
単調な作業が続くため、刺激ややりがいも感じにくいです。今の自分のしていることに意味を見出せなくなり辞めるケースさえあります。
被ばくするから|「早死に」のイメージも
さらに放射線技師は放射線を扱うため、ある程度の被ばくも覚悟しなければいけません。
特にX線を使った検査を行い場合、必ず被ばくします。
核爆弾や原子力発電所を連想しがちな放射線を扱う職業のため「早死に」のイメージも根強いです。
1度の検査で受ける放射線の量は微量であるものの、被ばくのイメージが独り歩きして「やめとけ」と言われることもあります。
職場に性格悪い人もいるから
職場の人間関係も放射線技師に否定的な意見がある理由の1つです。
放射線技師は全国に数万人いる分、働く方の性格も色々と異なります。
中には個性的な方もある程度はいるでしょう。ただ個性的な方に対して否定的なイメージを抱かれるケースもあるため「職場に性格が悪い人のいる世界」と考える方もいます。
求人数が少ないから
放射線技師の求人数が少ないことも理由の1つです。
放射線技師の有効求人倍率は2020年度時点で1.03とされています。つまり1人当たり約1件の需要がある数字です。
放射線技師として働く場合は、厳しい就職競争が待っている点を理解するべきでしょう。
自由に休めないから
自由に休めない点も大きな理由です。放射線技師の人数は病院にもよるものの、おおよそ2~5人程度のケースが多く見られます。
放射線技師の休みは交代制で、スタッフが提出したシフトを調整して決めるのが一般的です。ただ放射線技師が少ない病院の場合、休日の調整が簡単ではない場合もあります。
仮に休みを申請しても、急患が出た場合に出勤することも多いです。希望する日に休めないことが多い分、放射線技師は自由に休めないイメージがあります。
放射線技師単体での起業が不可能だから
放射線技師は病院を辞めて独立することができません。というのも、放射線技師は医師の指示に従って仕事するのが基本であるためです。
放射線技師が独立しても、自身の病院を開いたり治療方針を決めたりすることはかなりの困難があります。
放射線技師として講演やコンサルタントを行う場合でない限り、起業は現実的ではないでしょう。
機械の進歩で仕事がなくなる可能性もあるから
最後に放射線技師の仕事は、将来機械の進歩でなくなる可能性もあります。今後医療機器が進歩した結果、現在よりも少人数の技師で対応できるようになる見込みです。
機器が自ら画像診断できるようになれば、病院などもわざわざ技師を多く配置する必要がなくなります。
優秀な技師でない限り病院で働けない場合もあるでしょう。
「やめとけ」は本当?放射線技師の5つのメリット
放射線技師は「やめとけ」と言われるものの、本当にメリットがないのか気になりますよね。
実は放射線技師の仕事にも様々なメリットがあります。
平均年収が高い
まず放射線技師の平均年収はネットで噂されている割に高い方です。
厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査のデータでは平均547万円と発表されています。
勤務する職場によって様々であるため、実際には平均を上回る医療機関も存在します。
加えて残業や夜勤日直に携わった場合、残業代や夜勤手当も支給される仕組みです。働き方次第で月に多くの給料を貰える場合があります。
患者の健康に貢献できる
また放射線技師は医師や看護師と同じく患者の健康に貢献できるのもメリットです。
普段はMRIなどを使った診断や医師の依頼に応じた画像作成などを行っているものの、結果的に病気の早期発見やがん治療に役立っています。
名医とされる医師でも、放射線技師が病巣やがん細胞を見つけてくれなければ治療や手術などで実力を発揮できません。
自身の業務を通じて医師などをサポートすることで、患者の健康や病気回復に貢献できます。
肉体労働は比較的少なめ
放射線技師は肉体労働にあまり関わることはありません。むしろ医療機器を使った画像診断や放射線の照射が主な仕事です。
肉体労働よりもデスクワークに向かうことが多いため、腕力や体力にあまり自信がなくても携われます。加えて肉体労働に携わらない分、腰痛などの肉体的な病気の心配もありません。
ただしクリニックや整形外科勤務の場合は、多少肉体労働に携わる場合があります。
パソコン操作技術も向上する
放射線技師は業務を通じてパソコン操作技術が向上するのもメリットです。MRIやCTスキャンなどの医療機器を動かすにも、パソコン操作は避けて通れません。
資格取得前にパソコン操作に慣れておくと、仕事の際に役立つだけでなく日常生活でも非常に便利です。
加えて医療機器は常に進歩しているため、パソコンに強いといち早く操作に慣れる上でも役立ちます。
スキルアップを意識すれば重宝される
最後に放射線技師はスキルアップを意識すれば重宝される職業です。
スキルアップを通じて腕を磨けば、勤務先内部の様々なスタッフから注目されてキャリアアップに繋がる可能性があります。
しかし医師の指示通りの画像を問題なく作成できれば、重要な人材とみなされます。
加えて認定診療放射線技師やX線CT認定技師などの資格を得ておくと、内部での出世だけでなく他の医療機関への転職にも便利です。
常に勉強し続けて腕を磨くことも放射線技師として重要と言えます。
放射線技師に向いている人の3つの特徴
放射線技師を目指す際、向いている人の特徴も気になりますよね。
放射線技師に向いている人の特徴は以下の3点です。
安定かつ無難な仕事を望んでいる人
まず安定かつ無難な仕事を望む人は放射線技師に向いています。
放射線技師は大きな給料アップは見込めない一方、給料が大きく下がる心配もありません。
キャリアに応じて貰える給料がある程度決まっている分、お金関係は比較的安定するでしょう。
加えて放射線技師自体が国家資格の必要な専門職であるため、応募先との条件さえ合えば一生働くこともできます。
ルーチンワークも喜んでこなせる人
またルーチンワークも喜んでこなせる人にもおすすめです。
放射線技師の業務は基本的に医師の指示通りに治療に必要な画像を作ったり、患者の体に放射線を照射したりします。
原則として単純作業に打ち込むケースが多いため、単調な作業が続いても苦にならない方向けです。
特に自分が割り当てられた仕事を黙々とできる方であれば問題ないでしょう。
知的好奇心が旺盛な人
最後に知的好奇心が旺盛な方にも向いています。
放射線技師として医療に携わるには、放射線・医療機器の操作法・生理学・病理学など幅広い分野の知識やスキルが欠かせません。
加えて医療は日々進歩しているため、日常的に最新の知識やスキルを身に着けていれば現場でも実力を発揮できます。
普段から勉強熱心であることも、放射線技師として長く働く上で必要な要素です。
放射線技師に向いていない人の3つの特徴
一方で放射線技師に向いていない人の特徴も気になりますよね。放射線技師に不向きな方の特徴は以下の3点です。
放射線技師として高い収入が欲しい人
まず放射線技師として高い収入を求めている人が挙げられます。
放射線技師は年収の面で会社員などの平均よりは高いものの、大きな給料アップは見込めません。
いわば昇給のスピードがあまり速いわけではないため、700万や1,000万といった非常に高額な給料は期待できないでしょう。
高額な給料を貰えると思って放射線技師を目指すと、入職後に後悔しかねません。
抜群の実績を残したい人
また放射線技師として抜群の実績を残したい人にも不向きでしょう。放射線技師の仕事は医師の補助役に徹する分、あまり注目されにくいためです。
注目度が低い分、画像作成や放射線照射を多く行っても実績は評価されにくいでしょう。
抜群の実績を残して、世間の注目を浴びたり将来の出世に繋げたりすることはかなり難しいです。
地味な作業に耐えられない人
さらに地味な作業に耐えられない人にも向いていません。
放射線技師は医師の指示に沿って画像写真の撮影や放射線の照射などを行うのが日常的であるためです。
基本的な仕事の内容は決まり切っている分、人によっては単調かつ地味に思えることもあるでしょう。
与えられた役割に対してコツコツ打ち込むことが苦手な方には苦痛にさえ感じがちです。
放射線技師の将来性に関する4つのポイント
放射線技師を目指すのであれば、将来性が高いのかも知っておきたいですよね。
放射線技師の将来性に関するポイントは以下の5つです。
求人は都市部を中心に多い
まず放射線技師の求人は、基本的に東京や大阪など都市部を中心に多く用意されています。
都市部には規模の大きい病院が多く集中しているためです。
大きな病院であれば放射線技師も10人単位で募集しているため、就職の確実さを求めるなら都市部を狙うと良いでしょう。
加えて年収が高めである点も都市部の病院勤務の放射線技師が持つ利点です。
女性の放射線技師に対する期待度が高い
近年では女性の放射線技師に対する期待度が高いです。
放射線技師が治療に携わることの多い病気の中には、乳がんなど女性特有のものもあります。
今後とも女性特有の病気の症例は一定程度発生するため、女性の放射線技師の存在は不可欠です。
AIによって仕事を奪われるわけではない
放射線技師を目指す際、AI(人工知能)の進歩で仕事がなくなることが心配ですよね。
実は放射線技師はAIによって仕事が奪われるわけではありません。
人が関わる部分はAIには難しいため、今後とも放射線技師の社会的ニーズは高いままでしょう。
工夫次第で年収を増やせる場合もある
年収が上がりにくい性質のある放射線技師も、工夫次第で収入を増やせます。放射線技師が年収を上げる方法は資格取得・副業・転職など様々です。
現場で幅広く活躍できる資格を得れば、資格手当や役職などで年収アップに繋げられます。
また今の勤め先以上に待遇の良い医療機関を見つけて転職するのもありです。
今までの実務経験や保有資格などをアピールできれば、転職した後に長い目で年収が上がります。
まとめ
放射線技師がやめとけと言われる理由を、メリットや将来性などとともに見てきました。
年収の上がりにくさ・ルーチンワークの多さ・被ばくのリスクなどが放射線技師に対するネガティブな見方の要因です。
一方で放射線技師は平均年収の高さや肉体労働の少なさなど様々なメリットもあります。
将来性についても人材不足の一方で求人がある点や、女性の技師が注目されている点など明るい材料が多いです。
放射線技師を今後目指す際は、一度やめとけと言われる理由やメリットなどを検討してみてはいかがでしょうか。