鍼や灸を使って治療する鍼灸師を目指して頑張っている人もいますよね。
しかし「鍼灸師はやめとけ」と言われた記憶はありませんか。
鍼灸師は年収の安さや労働時間の長さなどで「やめとけ」と言われやすいです。しかし「やめとけ」と言われる理由をメリットなどと一緒に理解すると、目指す際に色々と役に立ちます。
本記事では「鍼灸師はやめとけ」と言われる理由を、メリットや向いている人の特徴などとともに解説します。
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鍼灸師とは
鍼灸師(しんきゅうし)とは、鍼や灸を使った治療を患者に施す職業です。
全身の至るところにあるツボや筋肉を刺激することで、患者の自然治癒力を高めて症状を改善させます。
鍼灸師として働くには、鍼灸関係の専門学校や大学の鍼灸学部で専門知識やスキルを得て、国家試験に合格することが条件です。
加えて職場や働き方も、鍼灸院・エステサロン・スポーツ施設・独立開業などがあります。
整体師との違いは?
鍼灸師に似た職業が整体師です。整体師は専門の知識や技術を用いて、患者の骨格や関節の歪みを治します。
鍼灸師は鍼や灸を使って施術する一方、整体師は道具を使いません。また整体師は民間資格であるため、鍼灸師に比べると資格の重みも異なります。
鍼灸師はやめとけと言われる7つの理由
鍼灸師を目指す際に「やめとけ」と言われたりコメントされたりした人もいますよね。
鍼灸師が「やめとけ」と言われる理由は以下の7つです。
仕事がきついから
まず「仕事のきつさ」が挙げられます。鍼灸師は毎日のように朝早くから夜遅くまで勤務する職業です。
ただし鍼灸院によっては21時や22時など遅い時間まで営業する場合があります。
加えて鍼灸師は基本的に肉体労働です。診療時間も12時間前後に及ぶため、休憩時間付きとはいっても疲労が溜まります。
診療以外にもカウンセリングや雑務も多いため、量的にもきつめです。
ただでさえ労働時間や拘束時間が伸びやすいため、「やめとけ」と言う人もいます。
給料が安いから
また「給料の安さ」も反対される理由です。鍼灸師の平均年収は350~400万円程度で、2021年時点の会社員の平均年収443万円よりも大きく下回ります。
給与所得者数は、5,270万人(対前年比0.5%増、25万人の増加)で、その平均給与は443万円(同2.4%増、102千円の増加)となっている。
令和3年分「民間給与実態統計調査」より引用
しかも鍼灸院やエステサロンによっては350万円を下回るところも多いです。一方で労働時間が長く肉体労働は多いため、割に合わないと感じる職場もあります。
働いても十分に給料を貰えている実感を感じにくいことから、「やめとけ」と言う人も多いです。
修行期間が長いから
さらに鍼灸師の「修行期間が長い」ことも挙げられます。
鍼灸師は国家資格を得て就職しても、すぐ一人前になれるわけではありません。
鍼灸師の仕事は非常に奥が深く、患者に的確な施術を行うには色々な経験をしなければいけません。
国家資格を活かす機会に恵まれないまま時間が過ぎる現状に失望し、辞める人も多くいます。
ビジネススキルが身に付かないから
ビジネススキルが身に付かないところも「鍼灸師はやめるべき」と言われる理由です。
例えばPCスキル・マーケティングスキル・チームワークなどは職場では学べません。
加えて患者に個別対応するケースが多いため、組織で動く経験も身に付かないでしょう。
一生鍼灸師を続けるのであれば問題ありませんが、他の業種や職種に転職する際にビジネススキルのなさで苦労します。
加えて年齢が高くなるほど転職成功率も下がりやすいです。鍼灸師を途中で諦めた場合に食べていくことさえ大変なため、「やめとけ」と言われることも多いでしょう。
受診人口が少ないから
業界としての鍼灸師は「受診人口の少なさ」もネックです。
受診率が5~7%と非常に低く、病院で治療を受ける人に比べてもお客さんに恵まれません。
特に開業した際にうっかり人口の少ないエリアに出店すると、あっという間に経済が行き詰まる場合もあります。
鍼灸師として生計を立てるには、お客さんが元から少ないことも覚悟するべきです。
専門学校などの学費が高いから
「鍼灸師はやめとけ」と言われる理由に学費の高さも挙げられます。
鍼灸師になるには大学や専門学校に通わなければいけません。
あまりにも給料が安い場合、投入した学費を取り戻すのに時間も要します。
しかも鍼灸師の中には途中で諦めてしまう人も多いです。給料が安かったり諦めて転職した場合、高い学費も無駄になるために「やめとけ」と言われます。
鍼灸師が増えているから
最後に「鍼灸師自体が増えている」ことも理由です。
鍼灸院はただでさえ受診率が低い一方、鍼灸師の資格取得者は毎年増え続けています。
受診率が低い状態で鍼灸師だけ増えれば、必ず求人を巡る競争が激化します。
将来的に食べていけない鍼灸師が増えることが予想されるため、反対する人も多いです。
【やめてよかったの声】鍼灸師を辞めた方の退職理由を5つ紹介
鍼灸師を目指すか諦めるかを考える場合、過去に辞めた人の退職理由も参考にしたいですよね。
鍼灸師を辞めた人の退職理由でよく見られるのが以下の5つです。
給料が安すぎて食べていけないと感じたから
まず「給料が安すぎて食べていけない」と感じたことが挙げられます。
鍼灸師は朝早くから夜遅くまでみっちり働く割に、平均年収が350~400万円程度とワーキングプアに近い状態です。
中には300万円に満たない勤務先もあるため、1人暮らしでもようやく満足に食べていけるかいけないかのレベルでしょう。
今後食べていけるかに不安を抱き、鍼灸師を辞める人も多いです。
院長やオーナーによるワンマン経営
また院長やオーナーによるワンマン経営が原因で辞める人もいます。
多くの鍼灸院は小規模で経営している分、院の方針も院長やオーナーの一声で決まりやすいです。
ワンマン経営による弊害に我慢できなくなって辞めるケースも多いです。
拘束時間が長かったから
拘束時間の長さを理由に辞める人もいます。鍼灸院は営業時間が日中から夜にかけてのパターンが多いです。
しかし実際には開店準備・勉強会・会議・清掃なども行わなければいけないため、鍼灸師の拘束時間は長くなります。
中には朝早く来て夜中に帰るケースまであるほどです。拘束時間があまりにも長いと、家でじっくり体を休めたりプライベートを楽しんだりすることも難しいでしょう。
肉体労働がきつかったから
肉体労働のきつさで辞める人もいます。鍼灸師は患者の体に鍼を刺したり灸を置いたりした上で治療するため、仕事の内容も肉体労働が多いです。
拘束時間も長く、治療以外に院内の清掃・開店や閉店の作業・書類作業などすべきことは多岐に渡ります。
疲れが溜まった上に満足に休めないため、嫌気が差して辞める人も少なくありません。
成長を感じられなかったから
最後に成長を感じられなくて辞める人もいます。鍼灸師は仕事の中で専門的な技術や知識は身に付く一方、世間一般に通用するビジネススキルは身に付きません。
特に見習い期間で雑用を多くこなしている場合、誰でもできる単純作業ばかりを行っていて成長を感じにくいです。
鍼灸師としての修行もなかなか進まない場合、向上心の旺盛な人には辛すぎるでしょう。
成長できないと感じた時、もっと成長できる職場や職種に転職したいと考えた末に辞める決意をする流れです。
鍼灸師の持つ5つのメリット
「やめとけ」と言われる鍼灸師にもメリットがないのか気になりますよね。鍼灸師の主なメリットが以下の5つです。
幅広い患者の治療に携われる
まず「幅広い患者の治療に携われる点」で強みがあります。
鍼灸師が治療の対象とするのは、基本的に全ての年代の人です。加えて鍼灸治療は副作用が少ないため、体力のない人でも支障なく治療できます。
例えば小さい子供でも何らかの症状がある場合に鍼や灸を使って治療すれば、あまり体に負荷を掛けることなく改善しやすいです。
また元気な人が肉体の機能を維持する上でも鍼灸治療は活用されます。
病気の有無や年代に関係なく治療できるため、やりがいを感じたり顧客の開拓がしやすいのが鍼灸師の魅力です。
スポーツや美容など活躍できる分野が広い
鍼灸師はスポーツや美容などでも活躍できます。
例えばスポーツ分野の場合、薬なしで身体能力の維持や回復能力の向上を図れる鍼灸師への注目度が高いです。
美容分野でも肌のたるみやほうれい線を改善できる美容鍼灸が人気を集めています。
スポーツ業界や美容業界はともに今後もニーズが高いため、2つの業界で活躍できる鍼灸師はより需要が高まるでしょう。
他にも介護や福祉の面でも高齢者の健康維持でも鍼灸は役立ちます。介護や福祉の分野での鍼灸治療も、高齢化がますます進む中で重要視されていく見込みです。
国家資格として社会的信用が高い
国家資格として社会的な信用が高い点も鍼灸師の魅力に数えられます。
鍼や灸を使った治療は鍼灸師にしかできないため、良い求人があれば全国各地で活躍できるでしょう。
また国が公認する資格を持っていることで、並々ならぬ努力で専門知識や技術を習得したことを証明できます。
関連する資格もあれば、より鍼灸師としての信頼を得られるでしょう。
独立開業も可能
鍼灸師は独立開業も可能な職種です。実際に鍼灸院を建てるだけでなく訪問鍼灸の形でも開業できるため、様々な方法で事業運営できます。
独立開業した場合、嫌な経営者の言いなりにならずに済む分、ストレスもあまり掛かりません。また立地や経営努力次第で高年収も実現できます。
工夫次第で年収1000万円も狙える
鍼灸師は「工夫次第で年収1,000万円以上を稼げる職種」です。
特にマーケティング力やコミュニケーション力は自前の鍼灸院や事業を発展させる上で不可欠です。効果抜群な施術を行ったり情報発信に力を入れたりすれば来院者も増やせます。
年収1,000万円以上を稼ぐには並々ならぬ努力も必要です。常に驕ることなく地道な努力を続ければ、年収の大幅増も実現できるでしょう。
アメリカの鍼灸師の年収は?
鍼灸は日本だけでなく世界的にも注目されている治療法です。
アメリカでも鍼灸師は人気の職種で、平均年収も870万円を記録しています。
ただしアメリカで鍼灸師として活躍する場合、国家資格であるNCCAOMか各州独自の資格が必要です。
鍼灸師に向いている人の5つの特徴
鍼灸師を目指す際、自分に向いているのか気になりますよね。鍼灸師に向いている人の特徴は以下の5つです。
コミュニケーション力に自信のある人
まず「コミュニケーション力に自信のある人」が挙げられます。鍼灸師は患者に個別対応しながら治療するため、適切なコミュニケーションは欠かせません。
実際の治療だけでなく、カウンセリングを通じて症状や適切な治療法を把握する上でもコミュニケーション力は重要です。
また開業した場合は顧客を増やす上でも役に立ちます。
コミュニケーション力に秀でていれば様々な業務で使えるために鍼灸師向きです。
自分自身が健康である人
また「自分自身が健康な人」も鍼灸師に向いています。
鍼灸師は体力勝負の職業でもあるため、自分自身が健康で体力も十分にあることが前提です。
加えて患者の症状を的確に把握することも、健康でなければうまくいかないでしょう。持病がなく健康に自信があれば鍼灸師に向いています。
鍼灸の守破離(しゅはり)を理解している人
さらに「鍼灸の守破離(しゅはり)を理解している人」にもおすすめです。
つまり鍼灸の基本をしっかり押さえた上で、様々な良い要素によって質を高め、自分独自の新しい施術の形を築く覚悟が求められます。
鍼灸を使って患者を癒したり生計を立てたりするには、高い技術や深い専門知識が必要です。
常に基本を大事にしつつ自分の施術を磨いていくことを心掛けられる人は、鍼灸師の適性があります。
成長意欲がある人
成長意欲がある人も、守破離を理解している人と同じく鍼灸師向きです。
鍼灸師として成功するには、専門知識や技術だけでなくコミュニケーション力やマーケティングスキルも求められます。
残念ながら専門知識やスキルに拘りがある人は、基本的に鍼灸師として稼げません。むしろ転職の際も他の業界で役立つスキルがないために苦労するでしょう。
専門知識に加えて、関連のスキルを磨いたり様々な資格を得たりする努力ができるのであれば鍼灸師もおすすめです。
修行をやり切る決意の強い人
最後に修行をやり切る決意の強い人も鍼灸師に向いています。
鍼灸師は国家資格を得た後も、鍼灸院などで修行を積まなければいけません。
修行中は雑務ばかりこなしたり、なかなか患者を診る経験を積めなかったりするなど苦しい時もたくさんあるでしょう。先輩鍼灸師から厳しく怒られることも多いです。
しかし厳しい修行でもやり切って見せるだけの決意があれば、鍼灸師に向いています。
修行の先には一人前に成長した鍼灸師の自分がいるでしょう。
鍼灸師になると後悔する人の4つの特徴
鍼灸師に向いていない人の特徴も合わせて知りたいでしょう。
鍼灸師になると後悔する人の特徴は以下の4つです。
コミュニケーションが苦手な人
まず「コミュニケーションが苦手な人」は鍼灸師に向いていません。
コミュニケーションがうまく取れないと、患者の症状を的確に把握したり適切な治療を施せなかったりします。
同時にコミュニケーション力が低い場合、先輩鍼灸師とのやり取りでも苦労しがちです。
先輩鍼灸師も教え方に悩む上、最悪見放す場合もあります。鍼灸師として成長できないリスクがあるため、他の職を考えると良いでしょう。
何らかの病気を抱えている人
また「何らかの病気を抱えている人」も鍼灸師に向いていません。
加えて鍼灸師は肉体労働も多いため、腰痛やヘルニアなどがあると仕事になりません。
持病があったりひ弱だったりする場合、鍼灸師として働くことは難しいです。
自己流の方法を重視する人
自己流の方法を重視する人も鍼灸師には向いてません。
鍼灸師として働くには、何よりも基本に忠実であることが前提です。
基本を無視して自己流を重んじるようでは、鍼灸師は難しいでしょう。
修行にネガティブなイメージを抱く人
最後に修行に「ネガティブなイメージを持つ人」も不向きです。鍼灸師として一人前になるには数年もの修行期間が必要とされています。
かなり長い年月をかけて施術の技量を磨いたり専門知識を強化したりしなければいけません。
もし修行にネガティブなイメージがある場合、途中で鍼灸師を諦めてしまうでしょう。
【儲からないはウソ】鍼灸師の将来性を解説
鍼灸師について前向きに考える際、将来性についても理解したいですよね。
実は鍼灸師の将来性は以下の理由から高いです。
高齢化が進んでニーズも向上
まず「高齢化によってニーズが向上すること」が予想されます。
加えて近年では健康を維持する意味で鍼灸を取り入れる高齢者も増えています。
高齢者人口は今後とも増加する見込みであるため、まずます鍼灸の重要性やニーズは高まるでしょう。
AIに代替されない
また「鍼灸師はAIに代替されるリスク」も大きくありません。
確かに近年では単純作業の多くがAIに代替されるため、多くの人が失業する懸念も広まっています。
しかし鍼灸師は患者とのコミュニケーションや施術を通じて症状を把握したり施術を行ったりする職業です。
コミュニケーションも細かい施術もAIには難しいため、今後とも鍼灸師の仕事はずっと残るでしょう。
鍼灸師になる女性も増加中
近年では女性の鍼灸師も増加中です。女性の社会進出が大きく影響しているものの、患者にとっての女性鍼灸師に対するニーズが高まっています。
女性患者に場合、施術の際に服を脱いだり男性鍼灸師に診て貰ったりすることに抵抗感を覚えやすいです。
女性鍼灸師が担当すれば、同じ女性と言うことで気軽に相談したり診て貰ったりすることができます。
加えて生理痛など女性特有の病気に対する治療や美容診療でも活躍しやすいです。
鍼灸のニーズは今後とも高い見込みであるため、女性鍼灸師が活躍できる場も広がるでしょう。
WHO(世界保健機関)も重要性を認めている
最後に鍼灸自体がWHO(世界保健機関)から重要性を認められています。
鍼灸師についても東洋医学の専門家として認められている分、日本だけでなく世界でも活躍できる存在です。
日本に限らず世界各国でも健康対策の一環で鍼灸を取り入れる人が増えています。副作用がほとんどない治療方法でもあるため、人に優しい医療として知名度も向上中です。
まとめ
「鍼灸師はやめとけ」と言われる理由を、向いている人の特徴やメリットとともに見てきました。
年収の低さや修行に時間が掛かることなど、「やめとけ」とされる理由は様々です。
しかし幅広い患者を治療したり様々な分野で活躍できたりするため、うまくいけば高い年収を稼げます。
加えてコミュニケーション力や体力に自信がある人であれば鍼灸師にも向いているでしょう。
鍼灸師を目指す際、メリットとデメリットの両方を理解することが重要です。両方をしっかり理解した上で、目指すか諦めるか決めると良いでしょう。