PCを使って設計図を作るCADオペレーターとして働きたい人もいますよね。しかしネットで「やめとけ」のワードが目立っているのを見て驚いた経験もあるでしょう。
CADオペレーターがよく「やめとけ」と言われるのは、残念ながら事実です。
本記事では「CADオペレーターはやめとけ」と言われる理由を、向いている人や将来性などと合わせて解説します。
CADオペレーターとは
CADオペレーターとは、パソコンや専用ソフトを駆使して建物や道具などの設計図を作る職種です。
CADオペレーターは設計士やデザイナーの指示に従って設計図の作成や製図を行うのが特徴です。また作るだけでなく、適宜修正や補足を施すこともよくあります。
CADオペレーターは建築・土木・工業関係など様々な業種で活躍できるのが強みです。社会的な需要も高いため、今後とも高い将来性を持っています。
雇用形態も正社員・派遣社員・アルバイトなどと幅広いです。未経験でも挑戦でき、仕事の中で必要なスキルや経験を身に付ければキャリアアップできます。
CADオペレーターはやめとけと言われる7つの理由
CADオペレーターとして設計作業に携わりたいと思っていても、「やめとけ」と言われる時がありますよね。
「CADオペレーターがやめとけ」と言われる理由が以下の8つです。
同じ姿勢でのPC作業を強いられる
まず同じ姿勢でのPC作業を強いられる点があります。
CADオペレーターはPCを使ったデスクワークであるため、設計に集中していると同じ姿勢を保つケースが多いです。
PCに向かい続けなければいけない中で体の不具合に苦しめられるため、「やめとけ」と言われます。
納期間近の残業が多い
また納期間近の残業がやたらと多いのも反対されやすい理由です。
CADオペレーターが行う製図作業には例外なく納期があるため、彼らは納期に間に合うように作業に従事します。
加えてオペレーターの中には複数の案件を同時に進めている人も多いです。
同じ日に複数の案件の納期限が来ると、かなり残業しなければならない場合もあります。
残業時間が長引きやすいことから「やめとけ」と言われがちです。
設計者によって指示が変わるため
CADオペレーターは設計者の指示通りに製図しますが、設計者によって指示が変わることもあります。
オペレーターの勤務先に設計者が複数いる場合もあり、図の内容の解釈も人によって異なるためです。
設計者によって問題ない基準がばらばらであることから、振り回されて疲弊することもよくあります。
特に納期直前に変更が生じた場合はストレスも溜まりやすいです。
指示以上の作業を求められる
設計者の指示以上の作業を求められる点も「やめとけ」と言われる理由に数えられます。
例えばある設計図で単位が間違っていた場合、関係する他の図でも単位を正しいものに直さなければいけません。
また縮尺を変える場合も他の図でも長さや大きさを変える手間が掛かります。
設計者が指示した修正項目は1つだけであるものの、実際には複数点変えなければいけないために疲れやすいです。
人間関係の板挟みに悩む
CADオペレーターは人間関係の板挟みに悩む職業でもあります。
オペレーターは設計者の指示を忠実に反映しつつ、現場スタッフが使う設計図を作らなければいけません。
ただ設計士やオペレーターがいくら気を付けていたとしても、現場で組み立て作業を行う際に問題は起きます。
特に設計士がいなくて代わりに応対した際には、スタッフの怒りを直接受けます。
設計者の指示に従って作業したにもかかわらず、現場スタッフに迷惑を掛けたために罪悪感で苦しみがちです。
ソフトや専門用語の勉強が不可欠
CADオペレーターはソフトや専門用語を覚えなければ仕事ができません。
また専門用語も、業界によって異なることが多いです。特に派遣社員として企業を渡り歩いているオペレーターの場合、違う業種で業界用語を覚える手間が掛かります。
常に最新の専門知識やスキルの勉強に追われるのも、CADオペレーターが「やめとけ」と言われる一因です。
逆に仕事がない場合もある
CADオペレーターによっては逆に仕事がない場合もあります。設計士のチェックを受けるまでの時間が長すぎたり、ほとんど雑用ばかり任されたりするケースなどです。
あまりに仕事がない職場にいるのは、特に勉強熱心だったり成長意欲が旺盛だったりするオペレーターには辛いところです。
CADオペレーターを辞めた方の退職理由を6つ紹介
CADオペレーターを目指す際、退職した人の声も参考にしたいですよね。
CADオペレーターでよくある退職理由が以下の6つです。
人手不足で仕事量が多い
まず人手不足で仕事量が多いことが辞める理由としてよくあります。
しかも設計者の指示通りに図を作るだけでなく、時に修正依頼や変更依頼に対応しなければなりません。
ただでさえ人手が足りないのにやることが多いため、心身ともに疲れ切って辞めてしまいます。
給料が低かった
また給料の低さもよくある退職理由です。CADオペレーターの中には仕事量が非常に多いのに、満足な給料を受け取っていない人もたくさんいます。
仕事量と給料のバランスが悪いと、頑張りが報われないと感じて辞めてしまいます。
意外と単純作業が多かった
CADオペレーターには単純作業の多さを理由に退職する人も多いです。特にあまりCADを使った作業にやりがいを感じない場合、単純なPC作業に過ぎないと思うでしょう。
またCAD関係でも、実際には図面のチェックや線の変更といった簡単な作業ばかりで失望する人も多いです。
単純作業ばかり続けていると刺激が少ないため、仕事自体に面白いを感じられなくなります。
よりやりがいのある仕事への転職を決意して辞めるケースに至りやすいです。
思っていた作業に従事できなかった
思っていた作業ができなくて辞める人もいます。
特にCADに不慣れな人の場合は誰でもできる雑用をこなすかたわら、ソフトの操作法や専門知識を覚えていきます。
しかし会社などが面接時にきちんと説明していないと、思っていた作業に携われないケースも多いです。
イメージしていた仕事に携われない場合、やる気を失って辞める人もいます。
精神的なプレッシャーがきつかった
精神的なプレッシャーを苦に感じて辞める人も多いです。
またCADオペレーターの作る設計図は、土木関係のように何らかのミスが起きた場合に大事故に繋がるものも多いです。
小さなミスさえ許されないプレッシャーにさらされる点も辛いところでしょう。
納期や起こるかもしれないミスへのプレッシャーに耐え切れなくなって辞めるオペレーターもいます。
腰痛や腱鞘炎などを患った
腰痛や腱鞘炎が退職の原因になるケースも多いです。CADオペレーターはずっと座りながらPCに向かう分、体中に疲労が溜まります。
座る時間が長続きした場合、腰への負荷が原因で腰痛やヘルニアを発症することも多いです。
またマウスやキーボードを使うことも多い分、腱鞘炎で指や手の甲を痛める場合もあります。
腰痛や腱鞘炎は1度発症するとひどい痛みに苦しみやすいです。痛みが長引き仕事に支障が出たことがきっかけで辞める人もいます。
CADオペレーターの持つ6つのメリット
CADオペレーターにメリットがないのか気になる人もいますよね。
CADオペレーターの主なメリット6点も合わせて見ていきましょう。
ホワイトな職場では年収も高い
まず職場によっては高年収を稼げます。特にホワイトな職場であれば、時給で2,000円台を提示するところも多いです。
時給2,000円の場合、8時間労働で20日勤務すると月収32万円・年収384万円を稼げます。
またホワイトな職場は福利厚生も充実しているため、有休を取りやすかったり社会保険が完備していたりする点も魅力です。
大変なイメージのあるCADオペレーターも、優良求人であれば高年収も狙えるでしょう。
関われる業種が幅広い
また関われる業種が幅広いのもメリットです。CADオペレーターが活躍する分野は、建設・土木・機械工業・福祉・家具などが挙げられます。
関われる業種が広い分、社会貢献度も非常に高いのがCADオペレーターの仕事の魅力です。
専門知識や操作スキルを積めば年収がアップする
CADオペレーターは専門知識やソフトの操作スキルを積むことで年収が増えます。未経験の場合、最初は時給も安い上、任される仕事も単純作業ばかりです。
しかし単純作業に携わりながら専門知識やスキルをコツコツ身に付けると、次第に様々な案件を任されます。
給料も上がるため、できることが増える喜びとともに魅力を噛み締められるでしょう。
加えて専門性を磨けば、転職や新しい派遣先を選ぶ際のバリエーションも増えます。より良い待遇の求人を紹介される機会も多いでしょう。
図面に描かれたものが完成した時の達成感
図面に描かれたものが完成した時の達成感もCADオペレーターならではの魅力です。CADオペレーターは橋や建物など大掛かりな建築物の設計にも携わります。
自分が作成した設計図をもとにした建物が完成すれば、まるで生みの親のような達成感や誇らしさにも浸りやすいです。
感じたやりがいを糧に今後の仕事を続けられる点もメリットと言えます。
在宅勤務も可能
在宅勤務ができる点も強みです。CADオペレーターは基本的にPCを操作する職種であるため、PCやソフトさえあれば家にいても仕事ができます。
特に家族のそばで育児や介護をしなければならない人にとっては、家族の面倒を見ながら仕事できる点が魅力です。
スペックの高いPCを用意しなければいけないものの、家を離れられない人も十分に仕事できます。
年齢に関係なく働ける
最後にCADオペレーターは年齢に関係なく働ける点もメリットです。
年齢よりもスキルや実務経験の方が重視されるため、専門性や健康な肉体があれば生涯現役で活躍できます。
実務経験やスキルを十分に磨くほど活躍の舞台が広がったり、キャリアを高めたりできる点も魅力的です。
加えてスキルが高いほど引く手あまたでもあるため、中高年に達した段階で良い条件での転職も実現できます。
CADオペレーターに向いている人の5つの特徴
CADオペレーターを目指す際、自分に向いているのか知りたいですよね。
CADオペレーターに向いている人の特徴は以下の5つです。
PC作業が得意な人
まずPC作業が得意であればCADオペレーターに向いています。CADオペレーターは日常的にPCを使うため、PCに慣れていれば素質は十分です。
未経験から始める場合でも、PCに慣れていれば専用ソフトの操作にいち早く慣れられます。
同時にPCが得意な人は座り作業にも慣れているため、長いデスクワークも苦に感じないでしょう。
几帳面で集中力のある人
また几帳面で集中力のある人もCADオペレーターにうってつけです。CADオペレーターは複数の案件を1度に担当したり、大量の製図案件に関わったりします。
加えて製図作業ではミリ単位まで誤りなく線を引いたりチェックしたりしなければなりません。
細かい作業にも強いほどに几帳面な人であれば、緻密に設計図を作れるでしょう。
コミュニケーション力に自信のある人
コミュニケーション力に自信のある人もCADオペレーターに向いています。
CADオペレーターはオペレーター仲間・設計者・現場スタッフなど様々な人とやり取りする機会が多いです。
キャリアアップすればクライアントや部下に指示を出すことも増えます。報連相や確認のまめさも求められるため、コミュニケーション力に自信があればCADオペレーターを目指すのもありです。
柔軟な対応力のある人
柔軟な対応力がある人もCADオペレーターに向いています。CADオペレーターは作業中に修正や変更を指示されることが非常に多いです。
場合によっては納期間近で修正を依頼されることもあるでしょう。柔軟な対応力があれば、修正や変更を頼まれても落ち着いて作業を進められます。
チーム作業が好きな人
最後にチーム作業が好きな人もCADオペレーターはおすすめです。1人で黙々と作業を進める場合が多い一方、仲間への相談や打ち合わせの機会もたくさんあります。
同時にチームで一丸になって作業すれば、プロジェクトが完了した際に大きなやりがいを感じられるでしょう。
チームワークを大切に思うのであれば、CADオペレーターを進路の1つに考えてみるのもありです。
CADオペレーターに向いていない人の5つの特徴
一方でCADオペレーターに不向きな人の特徴も気になりますよね。
CADオペレーターに向いていない人の特徴は以下の5つです。
PC操作が苦手な人
まずPC操作が苦手な場合、CADオペレーターとして働くのは難しいでしょう。CADオペレーターは業務の中でPCを使いこなせて当たり前の職種です。
職場でも戦力になりにくいため、PC操作が苦手であれば他の職種を目指すか極力慣れるように努力するべきです。
勉強嫌いな人
また勉強嫌いな人もCADオペレーターには向いていません。CADオペレーターは未経験でもベテランでも常に学習が求められます。
未経験の場合、ソフトの基本的な操作法や今後関わる業界の専門用語などを覚えなければいけません。
ベテランでもソフトの新しい仕様や新出の専門知識などと、覚えることが山ほどあります。
CADオペレーターとして働き続ける限り、専門知識やソフトの操作法は欠かせません。勉強嫌いな人にとっては苦痛に感じるだけでしょう。
コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが苦手な人もCADオペレーターに向いていません。
コミュニケーションが不得手な場合、作業を円滑に進めないだけでなくオペレーター仲間の中でも孤立するでしょう。
チーム作業でも役に立たないと思われやすいため、なおさら不向きです。
クリエイティブな作業が好きな人
クリエイティブな作業が好きな人も向いていません。CADオペレーターは原則設計者の指示に従って作業するため、自分で何かを生み出す仕事に携わりにくいです。
自分で何かを生み出す機会に恵まれないため、逆にCADオペレーターの仕事に集中しづらいでしょう。
クリエイティブな作業を好むのであれば、デザイナーなどクリエイターを目指すのが賢明です。
すでに腰痛や腱鞘炎のある人
すでに腰痛や腱鞘炎がある人も向いていません。CADオペレーターはPCを使ったデスクワークであるため、普通に働いても腰痛や腱鞘炎になるリスクが大きいです。
腰痛持ちの状態でCADオペレーターの仕事に携わると、より症状が悪化するでしょう。日常生活にも不便をきたすため、かえっておすすめできません。
CADオペレーターの将来性を解説
CADオペレーターを本気で目指す場合、将来性も気になりますよね。CADオペレーターは以下の理由から将来性が高いです。
幅広く活躍できて求人にも困らない
まずCADオペレーターは幅広い分野で活躍できるため、求人に困りません。
CADオペレーターが関わる業界は、建設・土木・介護・機械工業などと非常に幅広いです。
ニーズの高さで数多くの求人が生み出されるため、長期的に見てもかなり将来性は高いです。
設計業務はAIに代替されない
近年ではAIが仕事を奪うリスクが予想されているものの、CADオペレーターについては心配ありません。
確かにCADオペレーターの仕事の中には、図面修正のようにAIが代替する可能性の高いものもあります。
しかし設計業務のような創造性やコミュニケーションが必要な仕事の場合、AIには難しいです。加えて複雑な図面作成もすぐには代替されないため、あまり心配しなくて良いでしょう。
3DCADなど新しい技術の習得も鍵
今後CADオペレーターとして長く働きたい場合は、3DCADなど新しい技術の習得は欠かせません。
現在は2DCADが主流であるものの、最近では完成イメージを把握しやすい3DCADが存在感を高めています。
3DCAD以外にも今後様々な新技術が登場するでしょう。新しい技術を身に付けるほど専門性を強化できるため、貪欲に習得するべきです。
まとめ
「CADオペレーターはやめとけ」と言われる理由を、向いている人の特徴や将来性などとともに見てきました。
長時間に及ぶPC作業が辛い点や残業がやたらと多い点などで「やめとけ」と言われやすいです。
CADオペレーターについてはメリットやデメリットの両方をしっかり理解した上で、最終的に目指すかどうかを判断すると良いでしょう。