外国人との交流経験や留学経験などから日本語教師になりたい人もいますよね。
ただ日本語教師のことを相談して「やめたほうがいい」と言われたことはありませんか。
本記事では「日本語教師はやめたほうがいい」と言われる理由を、メリットやおすすめの働き方とともに解説します。
日本語教師とは
日本語教師とは、海外から日本に来た、もしくは日本に来る予定のある外国人に日本語を教える職業です。
日本独特の仮名文字から単語・発音・文法に至るまで指導し、外国人が日本語で意思疎通できるようにします。
日本語教師になる場合、現在特別な国家資格は必要ありません。
指導する場所も国内外の日本語学校のほか、外国人社員のいる企業や日本語教室など様々な場所があります。
近年ではインターネットを使ってオンラインで教える人も多いです。
日本語教師はやめたほうがいい?やめとけと言われる6つの理由
日本で学んだり働いたりする外国人の力になれる日本語教師について調べると、なぜか「やめとけ」などネガティブなワードが出てきますよね。
日本語教師を目指しているのに否定的なワードを見かけると気になるでしょう。
「日本語教師はやめたほうがいい」と言われがちな理由は以下の6つです。
専任教師でも食えないから
まず「専任教師でも食えない事情があるから」です。
日本語教師は大きく分けて教育機関の正規職員である専任講師と、非正規雇用の非常勤講師がいるのが一般的です。
専任講師の平均年収でも300万円台なので、2021年の日本の給与所得者の平均443万円よりも100万円以上低い数字です。
給与所得者数は、5,270万人(対前年比0.5%増、25万人の増加)で、その平均給与は443万円(同2.4%増、102千円の増加)となっている。
令和3年分「民間給与実態統計調査」より引用
安定しているはずの専任講師でも低い年収であるため、非常勤講師の年収はより抑えられています。
税金や社会保険を毎月天引きされれば、1人暮らしでもぎりぎりな状態でしょう。
仕事量が多いから
また「仕事量が非常に多い点」も、日本語教師はやめたほうがいいと言われる理由です。
専任教師の場合、講義で直接日本語を教えるだけでなく、日本語学校の運営に関する雑務も多く抱えています。
他にも業務時間外で講義の準備もしなければならないため、多忙を極めます。
一方非常勤講師も、複数の日本語学校での仕事を掛け持ちしているため、授業の準備まで含めると同じく忙しいです。
そして専任講師でも給料が安いため、モチベーションが下がるケースもよくあります。
7割程度が非常勤講師だから
さらに日本語学校の「教師の7割程度が非常勤講師である点」もやめたほうがいいと言われる理由です。
現在の日本語教育は、専任講師よりも賃金が少なく、職も不安定な非常勤講師に支えられています。
たとえ日本語を教えることや外国人と接することが好きでも、将来が見えなくて不安に悩まされることも多いでしょう。
すぐ専任講師になれないから
「非常勤講師で将来が不安であれば真っ先に専任講師を目指せば良い」と言う方もいますよね。
しかし日本語学校では余程実務経験やスキルが優れていない限り、すぐ専任講師になれません。
つまり専任講師に昇格するまで不安定な立場の中で日本語を教えなければいけません。
昇格するまでの間に解雇される可能性もゼロではない分、引き止める声も多いです。
学校・施設が減っているから
日本語を教える「学校や施設が減っている」現状も理由に挙げられます。
近年の国内外を取り巻く様々な社会情勢の影響が日本語教育業界に暗い影を落としているためです。
学校や施設の数が減ることは、教師の新規採用求人の減少にも直結します。きちんとした指導力を備えている人も力を発揮する機会に恵まれないため、教師を目指すことも反対されやすいです。
指定の講座を受けて試験に合格する必要がある
最後に日本語教師が教壇に立つ場合、所定の方法を満たさないといけません。具体的には以下の通りです。
- 大学や大学院で日本語教育学を専攻・修了する
- 大学卒業後に文化庁認定の「日本語教師養成講座(全部で420時間)」を受講・修了する
- 日本語教育能力検定試験に合格する
なお日本語教育に携わるにあたり、国家資格や教員免許は求められません。
ただし以上の3点のいずれかを満たすには一定以上の労力が必要であるため、引き止める人も多くいます。
日本語教師を辞めた方の退職理由を4つ紹介
日本語教師を目指すか決める際、退職した方の声はぜひ参考にしたいですよね。
日本語教師によくある退職理由が以下の4つです。
業務量が非常にきつい
まず「業務量が非常にきつい点」が挙げられます。特に専任教師であれば講義での指導以外にも、学校に関する雑務が非常に多いです。
しかも学校側の正社員であるため、仕事を依頼されるとなかなか断りにくいでしょう。
年収が非常に安い
また「年収が非常に安い点」も辞めるきっかけに挙げられやすいです。
専任講師でさえ年収300万円台の層が非常に厚いため、大量の仕事の割に合わないと感じる人もいます。
あまりの薄給ぶりに耐え切れなくなり、辞める日本語教師も少なくありません。
同僚・生徒との人間関係が辛い
さらに同僚や生徒との人間関係を苦に辞めた方もいます。
日本語学校には小規模なところも多いため、小さい教員組織の中でトラブルが発生することもざらです。
加えて上司の命令と非常勤講師の要望の板挟みに悩むことも多いです。
生徒との関係でも生活習慣や価値観の違いから衝突することもよくあります。様々な場面でのトラブルが辞めるきっかけになるケースも少なくありません。
教育体制が不十分だった
「教育体制の不十分さ」から辞めた方もいます。
日本語教師はただでさえ生活習慣や考え方が異なる外国人を相手に教える職業です。
しかし日本語教育の世界は中途採用者も多い分、教育体制が不十分なところも多いです。
新人として採用されたものの、十分に研修を受けないままに指導を命じられれば本人が困惑するでしょう。
講義や指導に対するフォローも不十分なために不安になって辞める方もいます。
日本語教師の持つ5つのメリット
辞めたほうがいい理由やデメリットもある日本語教師も、一方でメリットのある職業です。
主なメリットに以下の5つが挙げられます。
柔軟な働き方ができる
まず「柔軟な働き方ができる点」です。日本語学校の中には副業を認めているところも多いため、本業以外の仕事もできます。
専任講師の場合でも副業OKの学校であれば、様々な働き方をしても問題ありません。
海外で働ける
また「海外で働ける」のも日本語教師の強みです。
海外にも日本語学校はたくさんあるため、現地で暮らしながら教師として生計を立てられます。
加えて就労ビザが必要でも、日本語教師であれば取得の難易度も高くありません。
特に海外旅行が好きな方や、海外での暮らしに憧れている方にとっては、うってつけなメリットでしょう。
国際交流に貢献できる
さらに「国際交流に貢献できる点」も大きなメリットです。
加えて学校や教室で行われる国際交流イベントの企画や運営に携わることで、日本人と外国人が交流するきっかけを与えられます。
日本語を学んだ外国人が日本人と理解し合ったり一緒に働いたりする助けとなるでしょう。
日本語教師は日本社会や世界に対する貢献度が大きいのも特徴です。
日本で活躍する外国人を育成できる
同時に「日本で活躍する外国人を育成できる」のも日本語教師の強みでしょう。
外国人が留学生や出稼ぎ労働者として日本に来ても、日本語を自在に使えなければ不便です。
しかし外国人にきちんと日本語を教えれば、彼らが国内外で仕事や研究を行う上で非常に役立ちます。
日本の企業や研究機関なども外国人のスタッフを迎えることで、自社・自団体の戦力を強化しやすいです。
彼らが学んだ日本語を駆使して国内外で活躍すれば、巡り巡って日本社会にも恩恵をもたらすでしょう。
新卒採用求人も増えている
なお日本語教師は、近年新卒採用求人も増えています。
従来は中途採用を通じて講師陣を強化する傾向が強かったものの、最近では新卒採用に前向きな学校も多いです。
つまり大学や専門学校を出る前の就職活動を通じて、専任教師になる道が増えていることを意味します。
特に日本語教師になりたい思いが強かったり在学中に留学した経験があったりするのであれば、ぜひ探すと良いでしょう。
日本語教師に向いている人の5つの特徴
日本語教師を目指す際、自分に向いているのか気になりますよね。
日本語教師に向いている人の特徴は以下の5点です。
コミュニケーション力に自信のある人
まず「コミュニケーション力に自信のある人」は日本語教師に向いています。
加えて生徒の生活相談に乗るのも教師の仕事です。文化や生活習慣の異なる日本に住んでいると、彼らは不安や孤独感に苦しめられます。
不安などをきちんと解消する手助けにもコミュニケーションは欠かせません。
一方上司や教師同士でも指導がうまくいっているかや、各生徒の様子を把握する上で話し合うことは重要です。
他にも学校外の人との打ち合わせや話し合いも多いため、やはりコミュニケーション力は役立ちます。
海外で活躍したい人
また「海外で活躍したい人にもおすすめ」です。日本語学校は日本だけでなく海外にも設けられています。
在外の日本企業に就職したい外国人や日本に行きたい人も多いため、海外の日本語学校も需要が高いです。
ちなみに海外の日本語教師の求人はアジア圏が圧倒的に多いです。アジア方面で頑張りたいと思えればなお良いでしょう。
国内外の文化に興味がある人
「国内外の文化に興味がある人」もうってつけです。
日本語教師は単に日本語を教える力や語学力に秀でているだけでなく、日本や外国の文化に精通している必要があります。
前向きに生徒たちから彼らの文化や考え方を学ぼうとすると、良い刺激を受けながら仕事できるでしょう。
加えて日本の文化や習慣を教えることも多いため、日本の文化やしきたりについても関心があればなお良いです。
行動力のある人
「行動力のある人」も向いています。
日本語教師として仕事する際、教える相手は生活習慣が異なる外国人であるため、まずは自分から声を掛けることが大切です。
加えて最近では学校で勤務するだけでなく、フリーランスやオンラインで活躍する教師もいます。
学校以外で活躍するのであれば、自分で営業したり仕事を作ったりするなどと動かなければいけません。
円滑に日本語を教えて生計を立てるためにも、行動力も多く求められるでしょう。
年齢に関係なく働きたい人
最後に「年齢に関係なく働きたい人」にもおすすめです。
日本語教師は現在でもなお多くの学校で中途採用が行われています。定年が存在しない学校も多いです。
実際教育現場では50代や60代の日本語教師も多く活躍しています。生涯現役で日本語を教えたり外国人と接したりしたい人にもうってつけでしょう。
日本語教師になると後悔する人の4つの特徴
一方日本語教師に不向きな人の特徴もいくつかあります。
以下の4つに当てはまる場合、日本語教師に向いていません。
コミュニケーションが苦手な人
まず「コミュニケーションが苦手な人には不向き」です。
同僚の教師・生徒・外部の人間と接することが非常に多いため、コミュニケーション力が低いと活躍できません。
学ぶ側の外国人も、コミュニケーションが苦手な先生相手ではなかなか心を開けないでしょう。
教師本人もうまく指導できずに悩みを抱えたりモチベーションが下がったりしがちです。
専任講師に拘りのある人
また「専任講師に拘りがある人」も難しいでしょう。
日本語教師の7割が非常勤である分、学校で募集する求人も非正規雇用のものが圧倒的に多いです。
あまりにも専任講師に拘り過ぎると、なかなか採用されません。特に実務経験やスキルが足りてないと感じる場合は、まず非常勤講師からスタートするべきです。
残業や雑務が嫌な人
「残業や雑務が嫌な人」も日本語教師に向いていません。
非常勤講師でも学校によっては雑務を手伝わされることがあるでしょう。
日本語教師として働きたいのであれば、多少の残業や雑務があるのは仕方がないものと考えるべきです。
高い年収を稼ぎたい人
最後に「高い年収を得たい人」も向いていません。
一般企業の会社員よりもずっと低いため、少なくとも教師1本では高い年収は狙えません。副業するなどして仕事を増やさないと難しいでしょう。
【年収1,000万も目指せる】日本語教師でおすすめの5つの働き方
日本語教師の年収は専任講師でも300万円台とかなり低いです。
しかし工夫次第では年収1,000万円も目指せるほど稼げます。
最後に日本語教師におすすめの働き方を5つ紹介しましょう。
他の仕事も掛け持ちする
まず「他の仕事も掛け持ちする方法」です。
本業としての日本語教師の仕事は維持しつつ、副業によって収入源を増やせば、年収を全体的に底上げできます。
具体的に非常勤講師のように他の学校でも働く方法や、自身でオンライン教師として働く方法など様々です。
YouTubeやブログを使って日本語を学ぶための方法を発信するのも良いでしょう。
海外の日本語学校で働く
また「海外の日本語学校で働くのもおすすめ」です。
賃金水準の高い国では日本語教師の給料が日本以上というところもあります。
加えて海外の有名大学で日本語講師の職を見つければ、優遇される場合があります。
フリーランスとして働く
近年増えている「フリーランスとして働くのもおすすめ」です。
事業が軌道に乗れば、企業や団体から大きな仕事を得られる場合もあります。また教材を開発して学校側に売り込むのもおすすめです。
オンラインで教える
「オンラインで教える」方法もあります。
在宅でできるとともに、オンラインのコミュニケーションツールがあれば気軽に始められます。
自分でレッスン料を設定し、お客さんが付けば安定的に収入を増やせるでしょう。
社員として外国人スタッフに教える
「民間企業の社員として外国人スタッフ」に教えるのも1つの方法です。
企業の中には社内教育で外国人社員に日本語をマスターして貰うところも増えています。
大手企業など待遇の良いところであればなおおすすめです。
まとめ
「日本語教師はやめたほうがいい」と言われる理由を、メリットやおすすめの働き方とともに見てきました。
給料が安い点や仕事量が非常に多い点などから「やめとけ」と言われやすいです。
ただ柔軟な働き方ができる点や海外でも仕事できる点など独特のメリットがあります。
日本語教師を通じて外国人と接したり自らのスキルを活かしたりしたい人も多いでしょう。
もし目指す際は、「やめたほうがいい」と言われる理由とメリット・魅力の両方を検討した上で決めるのがおすすめです。