身体面で不便のある患者をサポートしたり、自身のスポーツ経験を活かしたりするために理学療法士を目指す人もいますよね。
ただネットで調べると「やめとけ」のワードがちらつくのが気になるでしょう。
確かに理学療法士は、待遇面や働き方が原因で「やめとけ」と言われやすい職業です。
しかし「やめとけ」と言われる背景を知ると、理学療法士への理解を深めたりより判断しやすくなったりします。
本記事では「理学療法士はやめとけ」と言われる理由を、メリットや将来への対策なども交えて解説します。
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理学療法士とは
理学療法士(PT)とは、けがや病気が原因で体に障害を持った人を支援・訓練する専門家です。
実際には今後障害が起きることが予想される方や普通に健康な人も支援します。
歩く・立つ・座る・走るなど、人が生きていく上で欠かせない動作を回復・強化させるのが主な役割です。
方法も普通のリハビリに加えて、運動の指示・マッサージ・温熱など様々なやり方を駆使します。
また実際に働く場合、医療施設・介護施設・スポーツ施設・フィットネスセンターなど活躍の場は様々です。
中にはプロスポーツ選手やチームの専属で活躍する人もいます。
理学療法士はやめとけと言われる7つの理由
支援対象者や活躍の場が幅広い理学療法士ですが、一方で「やめとけ」と言われた経験はありませんか。
「理学療法士はやめとけ」と言われる理由は以下の7つです。
- 平均年収が一般企業より低い
- 経験や頑張りが給料に反映されにくい
- 供給が多すぎて将来性がない
- 業務量が非常に多い
- 同僚や患者との人間関係に悩みがち
- サービス残業がごく当たり前
- 業務後や休日への勉強会がほぼ強制
平均年収が一般企業より低い
まず平均年収が一般企業よりも少ないことが挙げられます。
理学療法士は作業療法士や言語聴覚士とともにリハビリ職に含まれる職業です。
給与所得者数は、5,270万人(対前年比0.5%増、25万人の増加)で、その平均給与は443万円(同2.4%増、102千円の増加)となっている。
令和3年分「民間給与実態統計調査」より引用
一方で業務量の多さや慢性的なサービス残業などで多忙なため、非常に割に合わない職業とも言えます。
経験や頑張りが給料に反映されにくい
また理学療法士は経験や頑張りが給料に反映しにくいことも「やめとけ」とされる理由です。
つまり長く勤めても給料が大きく伸びません。
理学療法士の給料が伸びにくい要因が国の定める診療報酬制度です。
ただ診療報酬には貰える上限があるため、治療に当たる時間が長くても医療機関側にはメリットがありません。
しかも診療報酬は経験年数やスキルに関係なく誰がやっても変わらないため、勤続年数に応じた昇給も難しいです。
経験やスキルを積んで昇給できても増える給料の額はごくわずかなため、モチベーションも下がるでしょう。
供給が多すぎて将来性がない
さらに供給が多すぎて将来性がないことも理由です。理学療法士の人数が増え続けている一方、求人数はあまり変わっていません。
一方近年の求人数は20~25万件程度であるものの、資格取得者に比べて増加の幅は緩やかです。
理学療法士が今のペースで増え続けると、近い将来就職できない人が続出することが見込まれます。
せっかく国家資格を取ったのに就職できないリスクが高まることから、否定的な意見も多いです。
業務量が非常に多い
「理学療法士はやめとけ」と言われるのは、業務量が非常に多いことも関係しています。
理学療法士の業務は患者のリハビリを筆頭に、カウンセリング・リハビリ計画の立案や診療記録の作成などと様々です。
加えて医師など他の医療職との打ち合わせ・カンファレンスへの出席・後輩や学生への指導なども求められます。
土日祝日には学会にも参加しなければならないため、人によっては休めないケースも多いです。
日常的に忙しくて休む暇もないため、「やめたほうがいい」とアドバイスする人もいます。
同僚や患者との人間関係に悩みがち
理学療法士は同僚や患者との人間関係にも悩みがちな職業です。
理学療法士は学生時代の研修から入職後に至るまで同じ先輩の下で働くこともよくあります。
よりひどいとハラスメントの被害を受ける場合さえあります。
また自分のやり方に絶対の自信を持つ同僚がいる場合、口論やトラブルに発展するケースも多いです。
なかなかうまく折り合えないためにストレスが溜まることもあります。
一方患者についても、自分の受け持ちの人との関係が悪化した際に罵声や暴力を受ける点でもリスクが高いです。
同僚や患者との関係でストレスが溜まる点も、理学療法士がネガティブに思われる要因と言えます。
サービス残業がごく当たり前
サービス残業が日常的な点も理由の1つです。理学療法士の業務にカンファレンスへの出席や症例発表もあります。
ただでさえリハビリなどで疲れ切っているのに、定時を過ぎてからの会議などでストレスも溜まります。
しかも残業代も出ないため、なおさら不満やストレスにさらされやすいです。
あまりにも割に合わないことから「やめとけ」という声も一定数あります。
業務後や休日への勉強会がほぼ強制
最後に理学療法士は勉強会への参加がほぼ強制です。
あくまでも療法士個人の意思で参加する建前であるため、残業代や休日出勤手当は出ません。
しかし先輩などからほぼ強制的に参加を命じられるため、不参加の選択肢はないのが実情です。
特に休日に参加する場合、せっかくのんびりできる時間が台無しになるため、余計にストレスや疲労が溜まります。
理学療法士になってよかったと感じる4つのメリット
理学療法士は「やめとけ」と言われる理由や退職に繋がる事情がある一方、メリットもある職業です。
理学療法士のメリットに以下の4つがあります。
大きなやりがいを感じられる
まず仕事を通じて大きなやりがいを感じられる点です。
理学療法士は身体が不自由な人をリハビリなどでサポートするため、患者から直接感謝の言葉を掛けられます。
そして決意を新たにまた仕事に打ち込めるのが魅力です。
国家資格の利点を活かせる
また国家資格の利点を活かせます。国が認める専門の資格であるため、一定の社会的地位や専門性を持つ人物として注目されやすいです。
アドバイスの結果、状況が改善すれば感謝される意味でも国家資格としての魅力は大きいです。
将来転職や復職がしやすい
理学療法士は転職や復職のしやすい点でもメリットがあります。
肉体面のリハビリの専門家であるため、待遇や労働環境が満足できる職場であれば地域に関係なく働けるためです。
また転職だけでなく、出産・育児・介護を経ての復職でも採用されやすいです。
夜勤がない
夜勤がない点も理学療法士ならではのメリットに含まれます。
理学療法士は医師や看護師と異なり当直勤務がありません。リハビリ業務は基本日中の業務時間内に行うためです。
たとえカンファレンスなどで残業が長引いても深夜になるまでに帰宅できます。
特に家族のいる人であれば、帰宅後にパートナーや子供と一緒に過ごせるでしょう。
実際に働いている方に理学療法士の評判・口コミを独自調査
次に実際に働いている方に、理学療法士の良かった点・悪かった点をアンケート調査しました。
アンケートはクラウドソーシングサイトの1つである「ランサーズ」で集め、集計しております。
理学療法士は患者さんの状態に合わせた運動療法を行うことで、その人の生活や健康に貢献するやりがいがあります。
労働環境も、一般的には比較的好条件で、福利厚生も充実しているところが多いです。将来性についても、高齢化社会の進展に伴い需要が増加しており、安定した就職・転職が見込めます。
一方で、仕事内容が体力的にも精神的にも負荷が高いということがあります。患者さんのリハビリテーションには時間がかかる場合が多く、多くの患者さんを担当することもあるため、ストレスがたまりやすいというデメリットがあります。
また、働く場所によっては、残業が多いところもあるため、ワークライフバランスが悪くなることもあります。
有資格者であり、医療専門職でもあるので、働ける場所はあり、年収も平均的にもらえる職業です。
一方で理学療法士協会内では、より専門性の高い人材を育てたく、認定理学療法士や専門理学療法士等の資格がありますが、社会的に認められていない現状があり、資格を持っていても年収アップにはならない・むしろ維持費がかかり、経済的負担が大きくなってしまうというデメリットがあります。
仕事内容も多岐に渡っているので、前述した通り良い面もありますが、求められることが増えすぎて負担と感じている人も少なくないのではないかと思います。
理学療法士のメリットは、なによりもやりがいがあることです。患者様・利用者様に必要とされる仕事なので、とても感謝されるし、やりがいのある仕事だと思います。
将来性もあり、仕事がないことはないですが、給料的にそんなに高いことはありません。
また保険で給料があがる仕事なので、いくら頑張っても上限の額が決まっていると思います。
またどんなに良いリハビリをしても給料に反映されることは少ないです。
理学療法士は基本的に救急の業務がないために、労働時間がほぼ固定されている。また一度学校で学び資格を取れば、すぐに即戦力となる職種なのがメリット。
加えて現在は、介護予防・スポーツなど職域が広がっているので、どのような分野に参入できるか可能性がまだ広がると考えられる。
一方で医師や看護師・介護福祉士のように夜勤や救急などがないため、年収が残業(時間外)でしか増えていかない特徴がある。
また、患者に一対一で接することが多いため、精神疾患などに罹患した場合は仕事が出来なくなる可能性も高い。
セミナーや執筆など、ごく一部は人と接さなくても収入のある方もいるが、働き方や稼ぎ方が長年変わっていないという欠点もある。
理学療法士の良い点は、活躍の場が広いという点です。病院やクリニック、訪問看護ステーションなどの医療分野、老人ホームやデイサービスなどの介護分野、児童発達支援施設や放課後デイサービスなどの福祉分野といった多岐にわたって活躍ができます。
国家資格を保有しているため、転職もしやすいため、産後の女性でもキャリアアップを目指すことができます。
理学療法士の悪い点は、体力を使う仕事であるため、長く仕事を続けられない可能性があるということです。少子高齢化が進む日本において、理学療法士の仕事は、今後さらに必要とされる職種です。
しかし、理学療法士の仕事は、患者さんの移乗や歩行の介助なども行うため、とても体力を使います。
50代のセラピストの中には、仕事で腰痛を発症し、コルセットを着用して仕事をしている人もいます。
将来性はある仕事ですが、体力的な面で定年退職後も仕事を続けることが難しいというデメリットがあります。
担当している患者様が日に日に回復していく姿や、できなかったことができるようになったとき、退院するときには患者様本人だけでなくご家族の嬉しそうな笑顔やありがとうという言葉を聞いたときには、毎回やりがいを感じます。また残業も少ないので、ワークライフバランスを考えると非常に働きやすい仕事なのかなと感じます。
一方で年収が上がりにくく、実績を出して昇給するという環境ではないため、お金をたくさん貰いたいという人だとギャップが大きいすぎるのかなと思います。
また、理学療法士は開業権がないため、独立するにしても理学療法士としては独立できないのが残念かなと思います。
〇理学療法士をしていて良い点
年収:地域によっては年収が高く、安定した収入を得られる。
仕事内容:患者様に対して、他業種と協力や情報を共有して身体状態を改善していけること
労働環境:比較的リハビリ職は優しい方が多いので働きやすい印象
仕事の将来性:高齢者だけでなく、現在は発達障害も増えているので今後リハビリの需要は増えていく
〇理学療法士をしていて悪い点
年収:地方だと賃金が安い
仕事内容:リハビリの成果が出ない時にクレームがでる。リハビリ以外にも書類作成などの事務作業が多すぎる
労働環境:賃金に対して身体への負担が大きい
仕事の将来性:年間1万人以上新たな理学療法士が輩出されているため、飽和状態になっている。特別なスキルがないと、働き口がなくなると考えられる
理学療法士を検討されている方は、メリットやデメリットを把握した上で選択し、後悔のないようにしましょう。
理学療法士に向いている人の4つの特徴
理学療法士について調べていると、自分に向いているのか気になりますよね。理学療法士に向いている人の特徴は以下の4点です。
コミュニケーション能力に自信のある人
まずコミュニケーション能力に自信のある人は理学療法士に向いています。
理学療法士は支援を必要としている患者や利用者に直接話しかけながら仕事するケースが非常に多いです。
患者や利用者に適切なサポートを行うには、彼らのニーズを把握した上で最善の方法を提案することが求められます。
患者によってはリハビリで苦痛を伴う場合もあるため、応援の声掛けを通じて苦痛を和らげられるでしょう。
加えて理学療法士は医師や看護師など他の医療職との連携も欠かせません。患者の状況や必要な支援を的確に伝えることで適切な助けを得られます。
人の役に立ちたい気持ちが強い人
また人の役に立ちたい気持ちが強い人も理学療法士向きです。
理学療法士はリハビリや肉体面の指導を通じて患者や利用者に寄り添うことが求められます。
理学療法士は患者や利用者の笑顔や感謝の気持ちを糧にできる職業です。貢献したい気持ちが強い人であれば続けられます。
体力や忍耐力に自信のある人
体力や忍耐力に自信のある人にもおすすめです。理学療法士の仕事は肉体労働が非常に多い上、長時間労働やサービス残業なども日常的にあります。
一方で給料の少なさや患者・同僚とのトラブルなど理不尽なことも多いです。
もし理学療法士として長く働きたいのであれば、肉体労働や理不尽な事情に耐えられるほどの体力や忍耐力が欠かせません。
運動が好きだったり、体育会系のサークル・部活の経験があったりすれば役に立つでしょう。
日々学ぶ姿勢のある人
最後に日々学ぶ姿勢のある人も向いています。理学療法士は上司や先輩からの指導に加えて、業務外の勉強会やカンファレンスなどで学ぶ機会が多いです。
業務外の勉強会などは特別手当が出ないため、勉強嫌いな人であれば耐えられません。
しかし好奇心旺盛で自分磨きに熱心な人であれば、学びの機会が多い職場環境でもうまくやっていけます。
理学療法士はやめたほうがいい・向いてない人の3つの特徴
逆に理学療法士に不向きな人の特徴を知りたい人もいますよね。
理学療法士に向いていない人の特徴は以下の3点です。
平均年収以上の収入を得たい人
まず平均年収以上の収入を得たい人には向いていません。
加えて大幅な昇給も期待できません。理学療法士の仕事を通じて高い年収を得ようにも高いハードルが存在します。
高望みするよりは、安くてもいいから安定した収入を得たい人の方が良いでしょう。
人と関わることが苦手な人
また人と関わるのが苦手な人にも不向きです。理学療法士は患者・利用者から患者の家族・医師・看護師などと、非常に多様な人との関わりの中で仕事を進めます。
リハビリも患者を応援しながら支援計画や適切な指導を通じて取り組まなければいけません。
またリハビリを進めるも患者の家族・同僚・他の医療職と適切なコミュニケーションを取って、理解や協力を得る必要があります。
理学療法士はコミュニケーションをとる機会が非常に多いため、人との関わりが苦手な人には難しいです。
仕事に責任を持てない・向上心が低い人
仕事の責任を持てなかったり、向上心がなかったりする人も理学療法士に向いていません。
また最新の知見やスキルを学んで実践する姿勢も理学療法士には必須です。
学びの機会が非常に多いため、向上心がなければ勉強が苦痛に感じたり現場で役に立たなかったりするため、職場にいづらくなるでしょう。
それでも理学療法士に挑戦したい方が意識するべき4つのこと
もし理学療法士を目指す決意が固い場合、いくつか意識しておきたいことがあります。主に以下の4点です。
前もって昇給しにくいことを理解する
まず理学療法士を目指す場合、前もって昇給しにくいことを理解しましょう。
理学療法士は長期的に給料がなかなか伸びないため、頑張りや経験が評価されないことを感じる場面も多いです。
しかし前もって昇給のしにくさを理解しておくと、ある程度は業界の事情として納得できます。
理不尽なことがあっても耐えられるため、理学療法士を目指す際に昇給のしにくさは知っておくべきです。
別の事業所の転職も視野に入れる
また理学療法士として働いていて待遇に不満がある場合、別事業所への転職も視野に入れましょう。
確かに理学療法士は業界全体で年収が低い傾向にあります。
しかし事業所によっては平均以上の給料を貰えるところも多いです。同時に理学療法士を募集する求人もたくさんあります。
資格を武器に地域に関係なく働けるため、より待遇の良い職場を探すのもありです。
スキルを活かした副業で収入アップを狙う
待遇に不満がある場合はスキルを活かした副業で収入アップを狙うのも良いでしょう。
勤務先によっては副業を認めているところもあるため、可能であれば休日に始めるのがおすすめです。
理学療法士は身体のリハビリのプロであるため、パーソナルトレーナーや整体院などでの仕事が向いています。
また専門的な知見を活かしてセミナーを開いたり、ライターとして解説記事を執筆するのも1つの方法です。
理学療法士は月収が少ない事業所も多いため、副業すれば待遇面の不満を和らげられます。
なお副業を始める際、最初に勤務先の就業規定を確認してください。
合わなかったら職業を変えるのもあり
いくら頑張ってもやりがいを感じられない時は、思い切って職業を変える選択肢もあります。
働いてみたものの職場でうまく活躍できない時は自身に理学療法士が向いていない場合もあるためです。
再度自分の強みを振り返って適性のある職業に転職すると、意外と能力を発揮できたりやりがいを感じられたりします。
また転職を通じて年収やキャリアが上昇する場合も多いです。
今の職場や働き方に不満があるのであれば、職業自体を変えるのもおすすめでしょう。
まとめ
「理学療法士はやめとけ」と言われる理由を、メリットや将来の対策なども踏まえながら見てきました。
給料の低さ・休日の少なさ・激務になりがちな点などが、「やめとけ」と言われる主な要因です。
もし待遇に不満があっても、副業や転職などでいくらでも解決しやすいです。
理学療法士は大変なところもあるものの、患者や利用者の笑顔や感謝の気持ちでやりがいを感じながら働けます。
目指す際は「やめとけ」と言われる理由とメリットの両方を検討しながら考えてみてください。