精神保健福祉士はやめたほうがいい理由は?向いている人の特徴も解説

精神面の病気や障害を持った人を支援する精神保健福祉士を目指す人もいますよね。

ただ精神保健福祉士については「やめたほうがいい」と言われた経験もあるでしょう。

確かに精神保健福祉士は給料の安さや患者対応の大変さなどから「やめるべき」と考える人も多いです。

しかし「やめたほうがいい」の理由や真偽を知ると、精神保健福祉士を目指すべきかを考える上で非常に参考になります。

本記事では「精神保健福祉士はやめたほうがいい」の真偽を、主な理由や向いている人の特徴などを中心に解説します。

目次

精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは、精神面で問題を抱える人が不便なく生活できるようにサポートする専門職です。

具体的には精神疾患やメンタル面の障害を抱える人にカウンセリングや訓練などを行います。

また患者が退院した後も住まいの確保や就労支援などを通じて、彼らが社会生活を支障なく送れるようにするのも業務です。

職場も医療施設・介護施設・障害者施設・学校などが挙げられます。

精神保健福祉士として活動するには、大学や短大の保健福祉系学部・専攻で必要な知識・スキルを身に付けなければなりません。

場合によっては一定期間の実務経験も必要です。最後に国家試験に合格すれば活躍できます。

精神保健福祉士はやめたほうがいいと言われる6つの理由

精神保健福祉士はやめたほうがいいと言われる6つの理由

メンタル面の問題を克服する手助けする精神保健福祉士ですが、「やめたほうがいい」と言われることも多いです。

精神保健福祉士はやめたほうがいい」と言われる理由に以下の6つがあります。

平均年収が低い

まず全体的に平均年収が低い点が理由です。

精神保健福祉士の平均年収は350~400万円前後で、日本全体の平均年収(給与所得者のもの)443万円よりも若干低くなっています。

最高の400万円程度であれば月収は約33万円・手取りで約27万円です。ただし後で触れるように難しい患者に関わらなければいけない点や雑務の多さもある分、逆に割に合いません。

仕事をしていて評価がされにくいことや報われにくいことを痛感する場面が多いため、目指すことを反対されるケースもあります。

社会福祉士に比べて求人が少ない

また社会福祉士と比べて求人が少ないことも理由です。

社会福祉士は精神保健福祉士が対象とするメンタル面の疾患や障害を持った人のほか、高齢者・身体障害者・低所得者・子どもなどを支援します。

そして社会福祉士の方が支援対象が幅広いため、求人も精神保健福祉士よりずっと多いです。

精神保健福祉士として就業する場合、社会福祉士よりも厳しい競争にさらされると思われているため、反対する人もいます。

独占業務のない国家資格

さらに精神保健福祉士は国家資格の中でも独占業務がない点でも「やめたほうがいい」と言われやすいです。

独占業務は特定の資格を持つ人だけができる仕事を指します。例えば医師は医療行為ができる唯一の国家資格です。

独占業務がある資格は希少性が高いため、就職市場でも引く手あまただったり優良な待遇が用意されていたりします。

しかし精神保健福祉士は独占業務がない分、希少性も低く優良な待遇も期待できません。

国家資格の中でも医師などに比べて値打ちが低いため、「やめたほうがいい」と言われやすいです。

難しい・嫌いな患者と関わる必要がある

難しい・嫌いな患者と関わる必要がある点も理由の1つに挙げられます。精神保健福祉士が支援するのは精神面で病気や障害を持った人です。

ただしメンタル面で疾患や障害を持った人と関わる際、時に暴言を吐かれたり暴力を振るわれたりする場合もあります。

また中には患者が極度にネガティブで、支援する側さえ苛立ちを抱えるケースも少なくありません。

精神保健福祉士として働く場合、性格や背景を問うことなく担当の患者を支援します。

自身の都合で患者を選別できないため、大変な患者と関わり疲れる場合も多いです。

雑務も多い

精神保健福祉士は自身の専門業務だけでなく雑務も多くこなさなければなりません

雑務とは具体的に書類の作成・施設内行事の企画や運営・施設外の人との交渉などが挙げられます。

いずれも専門業務と全く関係ないものばかりであるため、不満を感じることもあるでしょう。

しかし精神保健福祉士だから雑務をやらなくて良いというわけではないため、結局断れずに作業に従事することが多いです。

余計な雑務のおかげで業務量が増えたりストレスを抱えたりするのも、精神保健福祉士の辛いところでしょう。

精神的に病む場合もある

精神保健福祉士の中には精神的に病む場合もあります

患者のカウンセリングをする際、患者から過去の虐待やハラスメントなど辛い体験を色々聞かされるためです。

福祉士によっては患者に共感するあまり、自分まで辛い気持ちになるケースもあります。

また患者から何の前触れもなくひどい言葉を受けて落ち込むことも少なくありません。

患者との関わりの中で辛い思いにさらされた場合、人によっては働く気力を失うこともあるでしょう。下手をするとうつなどを発症して長く療養しなければならない場合もあります。

精神保健福祉士になってよかったと感じる4つのメリット

「やめたほうがいい」と言われる精神保健福祉士にも何かメリットがないものか気になりますよね。

精神保健福祉士のメリットは以下の4つです。

精神面で悩んでいる患者の力になれる

まず精神面で悩んでいる患者の力になれます

精神面の疾患や障害を抱えている患者は過去の辛い経験が原因で、人生に前向きになれなかったり他者に心を開けなかったりする人が多いです。

精神保健福祉士はカウンセリングを通じて患者が求めるものを見出した上で、様々な方法で支援します。

患者の回復には時間が掛かるものの、少しでも状態の改善を確認できた時の喜びは非常に大きいです。

問題を解決した患者の元気な姿を見たり、彼の家族から感謝の気持ちを伝えられたりすればやりがいも思い切り感じられます。

支援を通じてやりがいや喜びを感じられるのが最大の魅力です。

働ける職場も幅広い

また精神保健福祉士は働ける職場が幅広い強みもあります。

最も多くの福祉士に選ばれる医療機関だけでも、精神科病院・一般病院の精神科・心療内科・メンタルクリニックなど様々です。

また医療機関以外に、市区町村役所・ハローワーク・介護施設・学校・児童相談所などでも活躍できます。

活躍できる場が多い一方、現場によっては人材不足が深刻であるため、色々な求人を検討しやすいです。

様々な働き方で活躍できる

さらに精神保健福祉士は様々な働き方ができる職種としても魅力があります。

基本的に医療機関や生活支援施設の職員で働ける上、福祉系公務員・学校のスクールカウンセラー・児童相談所の児童福祉司などとしても就労可能です。

医療機関での仕事にこだわらなくても良い分、自分に合った働き方ができます。

人によっては民間企業で障害者雇用を担う社員として活躍できるため、働き方や勤務先によっては年収も高めです。

国家資格として社会的信用がある

最後に精神保健福祉士は国家資格としての社会的信用があります

医師や弁護士のような独占業務はないものの、国が認めた専門職であるため、一生食いっぱぐれることはありません。

また私生活でも家族や友人でメンタルの疾患を抱えた人の力になれます。精神面で苦しむ親しい人を専門知識でサポートできるところも、国家資格ならではのメリットです。

精神保健福祉士に向いている人の4つの特徴

今後精神保健福祉士を目指す際、自分に向いているのか気になりますよね。

精神保健福祉士に向いている人の特徴は以下の4つです。

コミュニケーション力が高い人

まずコミュニケーション力が高い人は精神保健福祉士に向いています。

精神保健福祉士が患者を支援する際、まずカウンセリングを通じて患者の課題やニーズを見出さなければいけません。

ただ患者の中にはコミュニケーションが苦手だったり、なかなか心を開かなかったりする人もいます。

しかしコミュニケーション力が高ければ、患者と信頼関係を構築することが可能です。

支援の際も適切なコミュニケーションを心掛けることで、患者は徐々に回復に向かうでしょう。

精神保健福祉士の仕事を進める上でコミュニケーション力は必要不可欠です。

相手に親身になれる人

また相手に親身になれる人も向いています。

精神保健福祉士として患者をサポートするには適切なコミュニケーション以外にも、患者に寄り添いながらきちんと話を聞く姿勢も重要です。

患者の気持ちを考えながら寄り添うことで、患者も心を許して良いと思えるでしょう。

患者が心を開いてくれることが治療の第一歩であるため、目の前の相手に親身になれる人も精神保健福祉士に向いています。

他人の力になることにやりがいを感じる人

さらに他人の力になることにやりがいを感じる人にもおすすめです。

精神保健福祉士は患者のメンタルを回復させた上で、再び社会で活躍できるように助けていきます。

実際仕事の中で患者が立ち直り、前を向いて歩き始めるところを見るだけでも仕事のしがいを感じられる職業です。

患者が社会復帰を果たして喜ぶ姿を見れば、なおさら精神保健福祉士の仕事をしていて良かったと思えるでしょう。

困難に立ち向かえる強さがある人

最後に困難に立ち向かえる強さを持つ人にも精神保健福祉士の仕事は天職です。患者の治療や支援はいつも順調に進むとは限りません。

時には患者が心を開いてくれなかったり、治療中に暴言を吐かれたりすることもあるでしょう。また患者自身がひどく落ち込んで訓練が一時的に滞ることもあります。

精神保健福祉士の仕事の中では困難やトラブルにぶつかるケースも多いです。

しかし困難に直面しても粘り強く立ち向かう姿勢がある人は、患者とともに少しずつ課題解決に向けて頑張れるでしょう。

精神保健福祉士はやめたほうがいい・向いてない人の4つの特徴

向いている人の特徴を見たところで、逆に不向きな人の特徴も知りたいですよね。

精神保健福祉士をやめた方がいい人や、なると後悔する人の特徴は以下の4つです。

人付き合いが苦手な人

まず人付き合いが苦手な人は精神保健福祉士になると後悔します。

精神保健福祉士は職業柄、患者・他の医療職・行政関係者などとコミュニケーションを取ったり対策を話し合ったりする場面が多いです。

そして患者にも、病気や障害の影響で心を開けない人やひどい言葉を浴びせる人も大勢います。人付き合いが苦手な人の場合、患者と信頼関係を築くことも難しいでしょう。

患者とのコミュニケーションがうまくいかない場合、患者はなかなか話さえ聞いてくれないために治療も進展しません。

また協力者とも話せない場合、有効な対策を見出すのにも苦労します。

他人の身になって考えられない人

また他人の身になって考えられない人も不向きです。

精神保健福祉士として患者の治療や支援を行うには、何よりも相手の言いたいことや意見にしっかり耳を傾けなければいけません。

患者は過去の辛い経験や苦痛によって心に深い傷を負っています。福祉士の方が患者の心の傷や辛さをしっかり理解することが治療への重要な一歩です。

逆に福祉士が自分の都合ばかり優先してしゃべってばかりいると、患者の方も妙に警戒してしまいます。

なかなか治療に向けて進めないため、患者や他者のことを考えられない人は諦めるべきです。

打たれ弱い人

さらに打たれ弱い人も精神保健福祉士に向いていません。メンタル面で問題のある患者はコミュニケーションが不得手だったり心が不安定だったりします。

恐れや不安にとらわれるあまり、福祉士に対して暴言を吐いたり暴力を振るったりすることもあるでしょう。

ただ、暴言や暴力を受けたことで落ち込んでいては治療に進めません。

些細な暴言やトラブルで傷付くようでは、精神保健福祉士として仕事するのは難しいです。

高い年収を求める人

最後に高い年収を求める人も向いていません。精神保健福祉士の年収は平均350~400万円程度で、民間企業の正社員の平均よりも低めです。

しかも長期的に大きな昇給も期待できません。少なくとも多くの職場では精神保健福祉士で働く場合、高年収を稼ぐのは簡単ではないでしょう。

「需要ない」「役に立たない」は本当?精神保健福祉士の将来性を解説

精神保健福祉士を目指す際、職業の将来性についてもある程度は知りたいですよね。

実は精神保健福祉士の将来性は以下3つの理由から高いです。

ストレス社会だからこそ需要は高い

まずストレス社会だからこそ高い需要があります。現代社会は仕事や社会生活などで様々なストレスにさらされやすいです。

ストレスを受けて心の調子を崩した結果、精神保健福祉士の助けを求める人は多くいます。

今後もストレス社会は続く可能性が十分考えられるため、精神保健福祉士の需要は引き続き高まるでしょう。

医療現場では人材不足な存在

また精神保健福祉士が主に活躍する医療現場でも人材不足が深刻です。

医療現場の場合、精神保健福祉士は様々な医療職・患者本人・患者の家族とコミュニケーションを取りながら支援に当たっています。

医療施設では精神保健福祉士が人間関係や待遇の悪さを苦に辞める一方、精神疾患の患者は増加傾向です。

待遇や労働環境で満足できる条件は欠かせないものの、医療施設の求人については困らないでしょう。

精神障害者の雇用促進や社会復帰を助ける上で期待度も高い

精神保健福祉士は精神障害者の雇用促進や社会復帰を助ける上での期待度が高い職業です。

企業の中にも障害者雇用に力を入れるところが増えており、企業も優秀で将来性があれば積極的に迎えたいと考えています。

ただ精神障害者が企業で活躍するには、精神保健福祉士による支援は欠かせません。

今後も障害者雇用へのニーズは高まっていく見込みであるため、精神障害者の力になれる精神保健福祉士の需要も向上するでしょう。

「精神保健福祉士をやめとけ」と言われた時の4つの対策

精神保健福祉士を目指す際、「やめとけ」と言われると気落ちしますよね。

もし「やめとけ」と言われた場合、以下の方法を考えてみてください。

なるべく年収の高い事業所への就職を目指す

まずなるべく年収の高い事業所への就職を目指すのがおすすめです。精神保健福祉士は年収の低さが理由で反対されることもよくあります。

確かに平均年収が普通の会社員よりも低いと聞けば、反対されるのも無理もありません。

しかしあくまでも平均であるため、粘り強く探せば年収の高い事業所も見つかります。

手っ取り早く見つけたいのであれば、大学などのキャリアセンターや就職エージェントの力を借りると良いでしょう。

精神保健福祉士の公務員を目指す

また公務員として働くのおすすめです。精神保健福祉士は活躍する場が非常に幅広く、地方公務員として資格を活かしている人も多くいます。

役所の職員として働く場合、年収は500万円台と平均以上です。

加えて役所に直接雇用されているため、めったなことがない限り定年まで活躍できます。資格手当も支給されれば、より多く稼げるでしょう。

役職も付けば役職手当も付くため、比較的高年収で安定します。

副業OKの事業所を選ぶのもあり

事業所選びの際に副業OKのところを選ぶのも1つの手です。

精神保健福祉士でも比較的給料が低い人は、資格を活かした副業に取り組んでいます。

もし事業所で副業しても問題がない場合、本業の給料が安くてもカバーしやすいです。副業収入が月数万円程度でも大幅に懐事情を改善できるでしょう。

副業しても問題ない事業所を選べば、「やめとけ」とアドバイスした人に対しても説得力を持てます。

就業後のスキルアップ・キャリアアップを意識する

就業後のスキルアップやキャリアアップを意識するのも良いでしょう。

精神保健福祉士として業務経験を身に付けるだけでなく、社会福祉士や介護福祉士など類似の資格も取得するのがおすすめです。

保有する資格が増えれば、仕事の幅を大きく広げられるだけでなく資格手当も増やせます。

またスキルを高めることでキャリアアップも図れるため、より給料が上がりやすいです。

まとめ

「精神保健福祉士はやめたほうがいい」の真偽を、言われる理由や向いている人の特徴を中心に見てきました。

給料の安さや難しい患者と関わる点などで反対されるケースが多いです。

しかし精神疾患の患者や精神障害者が問題を克服し、社会で活躍し始めるのを見てやりがいも感じられます。

加えて国家資格でもあるため、生涯求人に困りません。

また精神的に問題のある人を支援するため、コミュニケーション力が高い人や患者に親身になれる人には特にうってつけです。

精神面で困っている人の助けになりたい思いが強ければ目指しても良いでしょう。

精神保健福祉士を目指す際は、メリットとデメリットの両方を振り返ってから最終的に決めてみてください。

精神保健福祉士に関する「よくある質問」

精神保健福祉士はどんな仕事?平均年収は?

精神保健福祉士は精神面で病気や障害を持っている人をサポートする専門職です。

支援や治療に当たるだけでなく、社会復帰できるように支援するのも重要な業務です。なお精神保健福祉士の平均年収は350~400万円程度です。

精神保健福祉士の受験資格は?

精神保健福祉士の国家試験を受けるには、保健福祉系の大学や短大で3年程度必要な授業を履修することが条件です。

全ての授業で単位を取った後、国家試験に合格すれば資格を得られます。

なお一般の大卒者のように、卒業後に一定期間の実務経験が求められる場合もあります。

30代後半から精神保健福祉士を目指すのは遅い?

精神保健福祉士に年齢制限はないため、30代後半からでも目指せます。

転職などをきっかけに30代後半などから精神保健福祉士を目指す人も多いです。

精神保健福祉士の離職率はどのくらい?

精神保健福祉士の離職率についての公的なデータはありません。

ただ給料の安さや人間関係が原因で辞める人も多いため、医療福祉産業全体で3年以内に3割程度が離職していると言われています。

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