亡くなった人のお弔いをサポートする葬儀屋への就職を考える人もいますよね。
ただ「葬儀屋はやめとけ」と反対された経験もあるのではないでしょうか。
葬儀屋は葬儀の準備・進行を引き受ける職業です。亡くなった家族との最後のお別れを手伝えるにもかかわらず、なぜ「やめとけ」と言われるのか気になりませんか。
本記事では「葬儀屋はやめとけ」と言われる理由を、メリットや向いている人の特徴などとともに解説します。
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葬儀屋(葬儀社)とは
葬儀屋とは、亡くなった方(故人)の葬儀の準備・運営や故人の遺体の管理などを請け負う仕事です。
基本的に葬儀社(葬祭会社)のスタッフとして業務に当たります。
葬儀屋になる方法は葬儀社の求人に応募し、選考に合格して入社するのが一般的です。特別な資格は必要ないものの、葬祭ディレクターや終活カウンセラーなどの資格があればキャリアアップに繋がります。
葬儀屋の平均年収は2021年で386.1万円と高い方ではありません。しかし資格を得たり実務経験を積んだりすることで昇給できます。
葬儀屋はやめとけと言われる8つの理由
葬儀の際に活躍する葬儀屋は「やめとけ」と言われることが多いです。
「葬儀屋はやめとけ」と言われる主な理由に以下の8つが挙げられます。
- 肉体労働が多いから
- 仕事できついノルマもあるから
- 遺体に慣れるまでがきついから
- 正社員でも年収が低いから
- プライベートがないから
- 覚えることが多いから
- 細やかな気配りが必要だから
- 嫌われるイメージがあるから
肉体労働が多いから
まず葬儀屋はスーツを着用する外見とは裏腹に「肉体労働が多い」です。
臨終を迎えた故人の遺体を運んだり、葬儀会場で祭壇を組み立てたりするなどの作業に従事します。
後で触れるように、きついノルマやプライベートのない労働もあるため、体力を削られる場面も少なくありません。
意外と体を使って仕事をするため、ある程度の体力がなければ苦痛でしょう。
仕事できついノルマもあるから
また仕事できついノルマがある点も理由です。
葬儀屋は自社サービスの会員を獲得し、会員が亡くなった時点で自社経由で葬儀を行うことで収益が発生します。
死に関わることでもあるため、簡単に会員を獲得できるわけではありません。
かと言って、成績を上げなければ上司に詰められるため、葬儀屋の仕事に後ろ向きな人もいます。
遺体に慣れるまでがきついから
遺体に慣れるまできついところも「やめとけ」と言われる理由です。
葬儀屋では遺体を運んだり納棺したりするため、スタッフであれば誰もが必ず遺体を扱います。
特に新入社員は遺体を見慣れていないため、見た途端に気持ち悪さを感じやすいです。しかも交通事故などが原因で激しく損壊した遺体を見てトラウマに感じる人もいます。
遺体に慣れないうちに辞めてしまうスタッフも多いほどであるため、「やめとけ」と言われやすいです。
正社員でも年収が低いから
葬儀屋は正社員でさえ年収が低い点でも否定的に見られます。
葬儀屋の平均年収(正社員)は約386万円で、1ヶ月当たり約32万円・手取りで約26万円です。
日本の給与所得者全体の平均443万円(2021年:月約37万円)から見ると、かなり低いと言えます。
給与所得者数は、5,270万人(対前年比0.5%増、25万人の増加)で、その平均給与は443万円(同2.4%増、102千円の増加)となっている。
令和3年分「民間給与実態統計調査」より引用
一方肉体労働の多さやノルマのきつさなど過酷な労働環境と比べると割に合わないでしょう。
プライベートがないから
プライベートのなさも葬儀屋に対するネガティブな見方の一因です。
人がいつ亡くなるか予想ができない分、葬儀屋は毎日24時間体制で運営する必要があります。
一方で全く依頼が来ないケースもありますが、スタッフからするとシフトが終わるまで緊張が解けないために、疲労が溜まりやすいです。
昼夜逆転する場合も多いため、心身に異常をきたすこともあります。
覚えることが多いから
葬儀屋は「意外と覚えることが山ほどある」職業です。
例えば葬儀は仏教や神道などの宗教上のしきたりに基づいて行われます。
特に仏教式で行う場合、浄土宗・真言宗・浄土真宗など宗派によってしきたりは様々です。
スタッフは遺族や宗教者(僧侶や神職など)に気を遣う意味でも間違えることは許されません。
祭壇へのお供え物の配置などで間違いが生じた場合は今後の営業に支障が出ます。
他にも勉強すべきことはたくさんあり、細かいしきたりに至るまで覚えなければいけない負担も大きいです。
細やかな気配りが必要だから
葬儀屋は「細やかな気配り」も求められます。
万一不適切な発言や遺体への雑な扱いをしようものなら、遺族は怒って契約を打ち切るでしょう。
無事に葬儀が終わるまで精神的なプレッシャーも続くところも辛いところです。
嫌われるイメージがあるから
最後に葬儀屋には嫌われるイメージもあります。
葬儀の準備・運営の対価にお金を稼いでいる点で悪く思われやすいです。
つまるところ「人の死を商売の動機にしているところ」で嫌なイメージを抱く人もいます。
葬儀屋に勤めるとネガティブなイメージにも向き合わなければいけないため、「やめとけ」と忠告する人もいるのが現状です。
葬儀屋を辞めた方の退職理由を5つ紹介
葬儀屋への就職を目指すか諦めるかを決める際、過去に辞めた方の退職理由も気になりますよね。
葬儀屋でよくある退職理由が以下の5つです。
給料が安すぎるから
まず「給料が安すぎること」で辞める方が大勢います。
葬儀屋の月収平均は32万円程度である一方、仕事の量や覚えるべきことは山のように多いです。
決まった休みが欲しかったから
また決まった休みを求めて辞める方もいます。
休みも基本シフト制で決まっているため、毎週同じ曜日に休めるとは限りません。
加えて休日でも必要に応じて呼び出され、結局休日出勤する場合もあります。
休日も落ち着いて休めない上、曜日が固定されていない分したいことの予定も入れられないことも、辞める原因でよくあるものです。
プレッシャーがきつかったから
葬儀屋特有のプレッシャーのきつさも辞める原因でよく見られます。
葬儀中の細かなしきたり・葬儀の案内などの書類・焼香の順番なども間違えると問題になります。ちょっとした気の緩みも許されないため、普通に働く以上に疲れて辞める方も多いです。
心身の調子を崩したから
心身の調子を崩して葬儀屋を辞める方もいます。
また遺体を見たり動かしたりすることも多く、トラウマが残る方もいます。
葬儀の始まりから終わりまでのプレッシャーも大きいため、心身の調子を崩して働けなる方もいるほどです。
人間関係で悩んだから
人間関係の悩みを理由に辞めた方もいます。
社内でも上司や先輩から厳しい指示を下されたり、ミスが原因で怒られたりしやすいです。
葬儀でも細かいミスさえ許されないため、「また怒られるのでは」と恐れを抱いてしまいます。
また葬儀の依頼主(主に喪主)や宗教者と葬儀の進行で打ち合わせる際も、不手際があって叱られることもあるでしょう。
社内や社外で厳しく言われることが多いため、疲れて辞めたくなる場合も多いです。
葬儀屋の持つ3つのメリット
大変な部分の多い葬儀屋でも何らかのメリットがないか気になりますよね。
葬儀屋のメリットは主に以下の3つです。
遺族からの感謝でやりがいを感じられる
まず遺族からの感謝でやりがいを感じられます。
確かに葬儀を滞りなく準備したり進めたりするのは骨が折れることです。
しかし葬儀が無事に終わった際に遺族から感謝の言葉を貰うと、とてもやりがいを感じられます。
葬儀屋も他の仕事と同じく、利用客から感謝されると、改めて今の仕事を続けて良かった思いと今後も続けていく決意がみなぎります。
遺族からの感謝の気持ちで気持ちが奮い起こされることが葬儀屋の魅力です。
資格や経験がなくても就業できる
また葬儀屋は資格や経験がなくても就業できます。
葬儀屋の仕事は、葬儀の一連の流れ・宗教や宗派ごとのしきたり・役所への申請方法など覚えることは様々です。
加えて長時間労働に携わることもよくあるため、最低やる気とコミュニケーション力があれば就業できます。
資格や実務経験は働きながら身に付ければ良いため、スキルに自信がなくても採用されることも多いです。
長期的な将来性は高い
葬儀屋は長期的に見て将来性の高い職業でもあります。葬儀屋は人の最期や葬送を扱う職業であるためです。
働き方や待遇の面でホワイトで、自身が気に入った職場であれば長く働けます。
葬儀屋に向いている人の5つの特徴
葬儀屋を目指す際に自分に適性があるのか疑問に思う人もいますよね。
葬儀屋に向いている人の特徴は以下の5つです。
体力に自信のある人
まず体力に自信がある人が挙げられます。
また夜勤の場合は夜間でもしっかり対応できるように備えなければいけません。ハードな葬儀屋の仕事をそつなくこなすには、一定以上の体力が不可欠です。
学生時代にスポーツをやっていたり肉体労働が苦でなかったりする人であれば、葬儀屋でも長く勤められます。
誠実に仕事に励める人
また「誠実に仕事に励める人」も葬儀屋向きです。葬儀屋は愛する家族を失って悲しみに暮れる遺族に替わって葬儀の準備や進行を行います。
遺族の世話や弔問客対応もするため、単に仕事ができるだけでなく遺族の思いに立つ姿勢が欠かせません。
常に誠実な気持ちでコミュニケーションを取れる人であれば葬儀屋に向いています。
適度に相手を思いやれる人
誠実さとともに「適度に思いやれること」も葬儀屋に必要な要素です。
遺族の世話やケアを行う場合、深い悲しみに沈む遺族をうまくフォローすることも求められます。
ただし遺族に共感しすぎて自分まで悲しみに暮れると葬儀が進みません。適度に思いやりや共感できるのが理想形です。
冷静さを失わずに仕事できる人
冷静さを失わずに仕事できる人も葬儀屋に向いています。
トラブルやミスばかりは完全に防げるものではないものの、たとえ起きたとしても落ち着いて対応できるようであれば十分仕事できるでしょう。
めったなことで動じなかったりきびきびと動けたりする人であれば向いています。
メンタルに問題のない人
最後にメンタルに問題のない人も葬儀屋向きです。
葬儀屋は悲しみに暮れる遺族に対応することも非常に多いため、メンタルがしっかりしていなければ勤まりません。
また長時間労働や随時対応で心身ともに疲れやすいため、体力だけでなく気力が充実していた方が望ましいです。
特別メンタルに問題のない人も落ち着いて葬儀屋で活躍できます。
葬儀屋になると後悔する人の5つの特徴
一方で葬儀屋に不向きな人の特徴を知りたい人もいますよね。
葬儀屋になると後悔する人の特徴は以下の5つです。
コミュニケーションが苦手な人
まずコミュニケーションが苦手な場合、葬儀屋に就職すると後悔します。
葬儀屋は遺族・弔問客・宗教者・火葬施設関係者・役所の職員など、仕事で関わる人が非常に多いです。
葬儀の準備をする際も、宗教者に読経などを依頼したり葬祭場や火葬施設の予約を行ったりします。またも喪主と打ち合わせをしたり、遺族をフォローしたりすることも重要な仕事です。
コミュニケーション力を駆使する場面が大変多い分、コミュニケーションが苦手な人には難しいでしょう。
感情移入しやすい人
また感情移入しやすい人も不向きです。葬儀では遺族が悲しみのあまり涙を流したり落ち込んだりするシーンを見かけることもたくさんあります。
遺族に寄り添うことも大切ではあるものの、あまりに共感しすぎると自分自身が悲しみに打ちひしがれるでしょう。
悲しみが強すぎて精神的に調子を崩す場合もあるため、感情移入しやすい人に葬儀屋の仕事は難しいです。
体力に自信のない人
体力に自信のない人も葬儀屋に向いていません。葬儀屋の仕事は葬儀の準備だけでも体を使った作業を多く行います。
またいつ依頼が入っても対応できるように夜中も待機するため、一定以上の体力が欠かせません。
日中でも長時間労働になりがちなため、長時間の仕事に耐えられる程度の頑健さが求められます。
仕事よりプライベートを重視したい人
仕事よりプライベートを重視したい人も葬儀屋は不向きです。
特に自分が休みの日に人手が足りていない場合、休日出勤しなければいけない時もあるでしょう。
事前にプライベートの予定を入れることが難しいため、プライベートを大事にしたい人には難しい職業です。
葬儀や遺体に嫌悪感のある人
最後に葬儀や遺体に嫌悪感のある人にも勤まりません。
遺体についても葬儀に携わる以上、見なかったり触ったりしない選択肢は不可能です。
加えて遺体の臭いをかいだだけで気分が悪くなる人にも難しいでしょう。
まとめ
「葬儀屋はやめとけ」と言われる理由を、メリットや向いている人の特徴などとともに見てきました。
給料の低さ・遺体に慣れないといけない点・肉体労働の多さなどと理由は様々です。
一方で葬儀屋は遺族の感謝された際のやりがいや将来性の高さの面で強みがあります。
葬儀屋は人のお弔いに関する職業で、特別なスキルや資格がなくても勤められます。
「やめとけ」と言われる理由やメリットなどを考慮しながら目指すか諦めるかを決めると良いでしょう。